第546話

「マルコイさん、それじゃあ宴会の準備が整ったさかい乾杯だけお願いするわ。」


乾杯の挨拶かぁ‥

今回色々とやった気がするけど、話したらまずいよな‥

神聖国の大神殿ぶっ壊しましたとか、とてもじゃないけど言えないしな‥


「えっと‥今回この場には勇者たちがいます。俺らはこの世界のために、彼らの魔王退治を応援したいと思います!みなさんもよろしくお願いします。それでは乾杯!」


あくまでも応援するスタイルです。


「「「かんぱーい!」」」





宴会が始まり、皆思い思い食べたり飲んだりしている。


「結局魔王退治を手伝う事になるのね?」


アキーエがお酒の入ったコップを持って話しかけてきた。


「そうだな‥成り行き上仕方ないかな。アイツらの事を知ってしまったからな。それなのに、助けたから後は勝手に頑張れよってのはちょっとな。」


「そんなマルコイだから、わたしたちもついて来てるのよ。それに勇者たちを助ける前から、十分巻き込まれている気がするしね。」


「そりゃそうだ。」


今回は魔王とか『あのお方』関連の人は出てこなかったけど、多分どこかで動いてた筈だ。


会わなかっただけで、多分賢者の洗脳とかは向こうのヤツが関わってると思う。

だってあそこまで人を洗脳できるヤツがそうそういるとは思えない。


『あのお方』本人じゃなかったとしても、それと同じスキルを分け与えられたヤツが神聖国にいたんだろうな。


あの時に出てこなかったって事は、あの時点で逃げ出したのか、隠れていたのか。


『影法師』を回収する時に確認はしておかないとな。


「まあ今までは待ちのスタイルだったけど、魔王に関してはこっちから攻める形になるかもな。」


そのためにももっと強くなる努力をしておかないと。

まあ戦力もかなり高くなったとは思うけど、これで大丈夫と思うほど、能天気じゃないからな。


「そうね。これからも忙しくなるわね。」


「ああ。でもとりあえずは獣人国に戻るかな。国王様も心配してると思うし。」


「そうね。全然帰ってこないから、気が気じゃないと思うわよ。」


「そうか‥?家はもらったけど、獣人国のために何かしたわけじゃないぞ。」


「マルコイはいるだけで、国のためになるのよ。まだまだその辺の理解はないのね‥まあそんなところも好き‥」


「さーて!お時間となりました!さっそくではありますが、『第一回、お料理どっちが美味しいのかしら?大会』を始めたいと思います!参加される人は中央の調理場付近にきてや!」


ん?

今アキーエが何か言おうとしてたけど‥

そしてとてもとても大事な事だと思うんだけど。


「い、い、い、行くわよマルコイ。」


だよね。


「そうだな。ごめんなアキーエ。ちゃんと俺から言うから待っててくれな。」


すると朱色に染まっていたアキーエの顔が真っ赤になる。


「うん。はぁ‥他人の事はわかるのに、自分の事になったら難しいものよね‥でも伝わったからいいとするわ。」


そんな事を言いながら、アキーエは調理場に進んでいった。


そうだな。

ちゃんと言うよ。


パーティみんなに獣人国に戻ろうって。

反対する人もいるかもしれないしな‥





「はい!宴会も始まったばかりですが、お腹が満たされてしまったら、なかなか審査ができないと思います!そやから早いうちに大会進めていくでー!」


おお!

のってますなキリーエさん。


「今回のメニューは海老!マルコイさんが海でとってきたグレートロブスターや!それを使って料理してもらうんや!それではマルコイさん!材料をどうぞ!」


俺は用意してある場所にいく。


でもここじゃ入りきれない気がするんだけど‥


「キリーエ全部は大きすぎて出せないぞ。」


「マルコイさん。全部出したらミミウちゃんが悲しむで。3分の2はミミウちゃんのためにとっておかないと。」


あっ!

さすがキリーエ。


でも3分の2で足りるかな?

まあ、また海に行ったら捕れそうな気がするから大丈夫かな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る