第545話

う〜ん、確かに海老を捕獲してきたけど、こんな場所を用意してるとは思わなかった。


今まで宴会の時は料理を思いついたら、調理場の隅を借りて作ってたからな。


しかも独立した調理場が2箇所あるから、2人同時に作れるようになっている。


これは‥?


「いっしっし。マルコイさんがでっかい海老を捕獲したみたいやから、せっかくやし料理対決みたいなもんをやってみよかなとおもてね。」


なんですと?

てかなぜ俺が海老を捕獲した事を知ったのかが知りたいような気がする。

いや、深入りしたら後悔する気がするのでやめておこう‥


「料理対決?」


「そや。マルコイさんもそうやけど、フーラさんやったり、ホット商会でも腕に自信がある人がおるさかい、海老ってメニューで戦うてもらおうと思ったんよ。もちろん宴会ならではの飛び入りも可能やで。」


キリーエは恵を見ながらそう告げて笑みを見せる。


なるほど‥


確かに面白いかもしれないな‥


でもそうなると本格的に調理場に立っていたフーラさんあたりが強いんじゃないのか?


「もちろんメニューは見たこともないような海老料理や!これなら経験値は多少関係するかもしれへんけど、1番大事なんは発想力になるやろ!」


なるほど。

確かに発想力が物を言う‥‥かな?

それに、その先にある商品化を狙っているキリーエさんが流石と思います‥


「お集まりの皆さん!今回は宴会中に料理対決をしまーす!参加希望の人はうちのとこまで言いに来てや!」


みんながざわついている。


数人がキリーエのところに進み出てきた。


おおう‥

その中にフーラさんがいた。

やっぱり来てらっしゃったんですね‥

そりゃもちろんフーラさんは出ますよね‥


他には‥

あ、ペイセルさんがいる。

あの人料理人なのか?

確かに司祭とか言ってなかったっけ?


もしかしてタルタル教の司祭は料理ができるのが条件だったりするのか‥?


勇者からは恵が参加するみたいだな。

恵もかなり料理は上手そうだけど、フーラさんはプロだしな。


その他にも数人参加するようだな。


でも今回の宴会は楽しくなりそうだな。

お酒のアテに、見る楽しみと味わう楽しみがあるなんて。


是非、1番前で見させてもらおうかな。



「マルコイさん。とりあえず参加者は6人やったよ。」


「そうか。それでどうするんだ?2人で作ってどっちが美味しいかって感じでやるの?」


「そやね。とりあえず一回戦はそれでやってもろて、最終的に勝ち残った2人で戦ってもらおかな。」


なるほど。

最低でも2〜3種類は料理を考える必要があるわけか。


「参加者はフーラさん、ペイセルさん、恵さん、ラケッツさん、メンセンさん‥」


ラケッツとメンセンは何をやってるんだ‥?

2人とも料理作れるのか?


「メンセンさんはフーラさんの手伝いやってるから、結構料理できるみたいよ。あとラケッツさんは凄い自信満々に参加してたから、自信があるんちゃうかな?」


なるほど。


「それとアキーエちゃんも出るみたいよ。」


「アキーエがっ?」


「そや。時間がある時に料理の勉強してたみたいやからね。頑張ってみるみたい。」


う、う〜む‥


アキーエの料理しているところを見た事あるけど、結構凄かったぞ‥


大丈夫なのか‥?


「マルコイさんはシードになるから、二回戦からの登場やから。」


ふーん。

マルコイは二回戦から登場か。

それじゃあマルコイはかなり有利だ‥




あ、俺なのね。 




「キ、キリーエ‥俺参加登録してないけど‥?」


「何を言ってるんマルコイさん。みんな打倒マルコイさんやで。」


えっと‥


視界の隅にとてもキラキラした目で何度も頷いているミミウが見える。


「はい‥頑張ります‥」


今回は見る側だと思ってたのに、最初から参加側に入っていたとは‥


仕方ない‥


それじゃあ料理を考えるとするか。


みんな頑張ってるから、少し頑張って作ってみるとしますかね。


心配なのは、アキーエが使う調理場が爆発しないかくらいかな‥

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