第548話
「それでは2人とも料理を審査員の前に置いてください!」
2人の料理が運ばれてくる。
やはり2人ともエビフライのようだ。
フーラさんは普通のエビフライみたいだ。
少し太目かな。
あとメンセンは‥
まん丸い‥
丸いエビフライ?のようだ。
あれはエビフライでいいのかな‥?
揚げ物の上にはたっぷりとタルタルソースがかかっている。
それに対してフーラさんのエビフライにはタルタルソースがかかっていない。
正直そんな馬鹿なっ!って感じである。
「俺の料理は『男の魂エビボールタルタル』だぜ!エビを腹一杯食べたいって気持ちから、エビの切り身を丸めて揚げて、それに特製タルタルソースをかけた至高の一品だ!」
メンセンは筋肉ポーズをとりながら料理名を言っている。
料理も熱そうだが、メンセンも暑苦しい‥
「おっと!ここで実況予定であったライリーさんがいらっしゃいました。」
ライリーも来てくれたのか。
今日もフリフリの洋服を着ている。
あっ!
そう言えばライリーを正人に紹介するつもりだった‥
‥‥‥まあ後からでいいか。
「ライリーさんよろしくお願いします。しかし遅かったですね。もしかして洋服を選んで遅くなったとか‥?」
「そ、そ、そ、そんなわけないでしょ。それよりも早く進めましょう!」
「う〜ん、恋する乙女ですね。」
「ち、ち、ち、違うわよ、そんなんじゃないわよ!」
うん、楽しそうで何より。
メンセンの料理を審査の人たちが食べ始めた。
みんな黙々と食べている。
食べている人たちが幸せそうな顔をしているので、美味しいのだろう。
ポッサムさんが手を挙げている。
ライリーがポッサムさんの近くまで行き、ポッサムの挙手の内容を確認している。
そしてポッサムさんを促す。
「このタルタルソースなんだが味が違いますね。その場で作ったといえ、ここまで違う味がでるんでしょうか?」
何か少し色なんかも違うなと思っていたけど‥
「そうですね、愛と筋肉です。それと食感と味のアクセントに野菜を漬け込んだ物を刻んで入れています。」
愛と筋肉はいらんがな。
ポッサムさんが何やらメモしている。
あれは審査のメモだろうか?
それとも自分の街に戻った時に作ってみようとか思ってるんだろうか?
でも多分戻った時にはカルーン内でも食べれるようになってると思いますよ。
キリーエさんのフットワークの速さは想像以上ですから。
「エビがぷりぷりしていて、タルタルソースがカリカリしてるから、食べてて楽しかったですぅ。」
なるほど。
ミミウが言うなら美味しかったんだろうな。
筋肉ポーズをちょこちょこ変えているメンセンの顔がうるさいけど‥
次はフーラさんか‥
「私の料理は『タルタル神様に届け、私の胸にある信仰心』です。」
もう料理名じゃないじゃん‥
料理自体は普通のエビフライみたいだけど‥
ただ普通エビフライに比べてかなり太い。
何本か切り身を重ねたんだろうか?
違いは審査員が食べてからわかった。
審査員が一口食べて驚いた表情をしている。
「こ、これは!中からタルタルソースがっ!」
なるほど!
タルタルソースは上からかけるのが常識であったが、そうではなく中のエビに纏わせて一緒にフライとして揚げたわけか。
さすがフーラさん。
フライの鉄人だぜ。
「上からかけるタルタルソースよりも、粘度を高くしてエビの周りにつけてから衣を纏わせています。私のタルタル神様への信仰心が身体の中から溢れ出ている事を表してみました。」
ふむ。
やめて、こっち見ないで。
審査員が食べた後、どちらの料理が美味しかったのか検討している。
メンセンさんは、すでに負けたかのようにガックリと地面に膝をついている。
審査員も悩んでいるけど‥
おっ、みんな結果が出たみたいだ。
「さて!審査員の皆さんの結果が出たみたいです!それでは勝者は!?」
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