第374話

サントバルは周りの光景を見ながら呆然としていた。


それはそうだろう隠し球と思っていたドラゴンが3匹とも倒されてしまったんだ。


少し前まで勝ち誇り下卑た笑いを浮かべていた顔は生気が抜け落ちたような顔になっている。


「そ、そんなバカな‥ドラゴンだぞ。しかも多頭竜まで居たというのに‥」


「さてどうする?頼みのドラゴンは倒されてしまったが?」


俺はサントバルに声をかける。


後は『カッカス』がいるが、こちらの戦力も減っていない。

まあミミウは魔力切れを起こしかけているしアキーエもダメージを受けているが、それでも今いる『カッカス』の団員に遅れをとる事はないだろう。


後は俺がサントバルを倒して終わりといったところだな。


当初の目的はキリーエを暗殺しようとしたしたやつをぶん殴りにきたんだが、魔族であるサントバルを放置するわけにはいかない。


ここで倒すか、国に身柄を渡すしかないだろう。


「なあお前が言う『あのお方』は一体何が目的なんだ?お前はロンギル共和国を商人として支配するつもりだったんだろう?それが『あのお方』からの指示だとしたら何故そんな面倒な事をするんだ?お前たち魔族は魔族以外の種族と敵対しているのだろ?だったら何故すぐに攻め込んでこない?」


サントバルはこちらに視線を向ける。


「残念だが何故だかは俺も知らんよ。俺はただ指示通りにこの国を支配しようとしただけだ。支配した後の事などしらん。他の者も同じだろう。」


他の者‥?


「俺達は『あのお方』の指示通り動いているだけだ。お前は『あのお方』の邪魔をした。敵対したんだ後悔するといい。」


いや、もうすでにガルヘアの時に思いっきり敵対してるしな。


「それに俺もこのまま終わるつもりもない。まだ俺がお前を倒して他のメンバーも皆殺しにするという選択肢が残っている。ダンベル、他の者を抑えておけ。俺がこいつを倒すまでな。」


「わかった任せとけ。」


サントバルはこちらに身体を向けて腰の剣を抜いた。


「お前を殺して俺は再起する。それは変わらん!行くぞ!」


追い詰められて吹っ切れたか?

少しまともじゃない感じがしていたが、今は会話もできるし自分で状況判断して動いているようだしな。

まあ俺を倒してっていう状況判断は間違っているけどな。


サントバルはこちらに迫ってくる。


『カッカス』の拠点でも見たが、剣のスキル持ちなのか?


サントバルは剣を上段から振り抜く。


俺はそれを横に身体をずらして避ける。


そしてすぐにサントバルに反撃を行う。


水平に斬りつけると、サントバルは剣で受け止める。


サントバルは防御した勢いで少し距離を置く。


「やはり一筋縄ではいきそうにないな。それでも勝たねばならん!勝たねば‥」


サントバルは下を向き何か呟いている。


そして顔を上げるとその顔にかなり赤みがさしている。


そして先程と同じようにこちらに突っ込んできた。


しかし先程とスピードが違う。


そして剣を振るスピードも力もかなり強くなっている。


俺もエンチャントを使い攻撃を凌ぐ。


しかしサントバルの顔の赤みが増すごとに段々とスピードが増してくる。


なんだ?

何を使っている?

スキルだろうがスピードもパワーも一時的に上げるものなのか?


エンチャント:爆炎と暴風を使わなければ捌くのが難しくなってきた‥


一旦俺はエンチャント:爆炎を使いながら思いっきり剣を叩きつけた。


距離をとるためだ。


サントバルは剣を受けて後退する。


するとサントバルの顔の赤みが消えていく。

そしてサントバルは肩で息をするほど体力を使っているようだ。


しかしすぐにサントバルは追撃をしかけてくる。

やはり先程と同じように顔に赤みがかかっている。

今度は赤みというより赤黒い。


だが先程よりもまた更にスピードが上がっている!


俺はエンチャント:爆炎、暴風を使い迎え撃った。

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