第373話

ミミウはドラゴンステーキを食べるために頑張った。


アキーエも自身で傷を作りながらも高ランク冒険者たちが集団でさえ倒すのに苦労するような多頭竜を単独で倒した。


残るはアレカンドロが相手している氷竜とサントバルと『カッカス』の面々だな。


アレカンドロは氷竜と空中戦を広げている。

俺が空に足場を作って戦うよりも軽やかだな。


氷竜は最初のアレカンドロの攻撃で真っ白な身体を赤く染めている。


しかしまだ力を残しておりブレスや爪での攻撃でアレカンドロが近づけないようにしている。





氷竜がまたブレスを放つ。


アレカンドロのスキル【聖鎧闘士】の鎧であればブレスで凍ってしまう事はない。


しかし氷竜はブレスでアレカンドロの視界を塞ぐとその場所を離れて氷竜の姿を見失ったアレカンドロに対して爪で攻撃している。


今もまた真っ白なブレスで視界を塞がれてしまったアレカンドロに氷竜の爪が迫っている。

アレカンドロはそれに気づき大斧で迎撃する。

弾き返しはしたが、氷竜との距離が縮まらない。


まさかあそこまで氷竜の知性が高いとは思わなかった。


このままだとアレカンドロの魔力が尽きるのが先か、氷竜が出血で体力が無くなってしまうのが先か‥


しかしアレカンドロの息が上がってきているように見える。

このままではアレカンドロの方が先に魔力が尽きてしまいそうだな。


するとアレカンドロは動きを止めた。


空中に浮いたまま氷竜を見ている。


そして大斧を片手で持ち大きく振りかぶった。


アレカンドロのいる位置から氷竜まではまだ距離がある。

とてもその場所で大斧を振ったとしても届くはずがない。


ま、まさか魔族のリルが放ったような剣撃を飛ばす技を風の力を借りて再現しようとしているのか!


そしてアレカンドロは‥


「どりゃあーー!」




そのまま大斧を氷に向かって投げた‥



あえ?



大斧はもの凄い勢いで氷竜に飛んで行き、氷竜の身体に傷をつけた。


しかしダメージを与えはしたが、決して致命傷ではない。


主武器を投げてしまったアレカンドロは今からどうやって戦っていくつも‥


あれ?


アレカンドロの手に大斧がある。


さっき投げたはずなのだが‥


また投げた。


今度は氷竜に当たらなかった。


しかし当たらなかった大斧は下に落ちる前に光になって消えた。


そしてすぐにアレカンドロの手元に大斧が発現した。


な、なるほど。


アレカンドロの大斧も鎧と一緒でスキルで発現している物だ。


だから手元から離れたら自分で消して、また手元に発現させる事ができるのか!


魔力は使うだろうが、実質投擲し放題の武器ってわけか。


う〜む氷竜にとっては悪夢だな‥


あ、また当たった。


今度は頭に当たって頭から血が噴き出てる。



流石に氷竜が嫌がってアレカンドロに突っ込んでいく。


いくら知性が高いとはいえ、その状況を打破する案は出なかったか。


その判断は悪手だ。


近寄れないように戦況を支配していたつもりなんだろうが、アレカンドロの方が一枚上手だったな。


近寄ってきた氷竜の噛みつきを紙一重で躱したアレカンドロは、伸び切った氷竜の首にある傷口に向かい大斧を振り抜いた。


1度目は途中で止まってしまった大斧も今度は氷竜の首を斬り落としたのだった。






アレカンドロも勝ったか。

ギリギリだったけど、アレカンドロの粘り勝ちだったな。

まさか大斧を投げるなんて俺も思いつかなかった。

自分の主武器を投げるなんて思い切った事をしたもんだ。


もしかして訓練してた時に自分で気づいたんだろうか?


だったら何故すぐに使わなかったのだろう?

もしかして忘れてたとか‥?

アレカンドロならありえる‥


まあどちらにしろよく頑張った。

仲間になってからの初陣で竜に勝てたのは大金星だ。


さて残るはダンバル率いる『カッカス』とサントバルだけだな。


さてそろそろ決着といこうか。

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