第372話
ミミウは猛スピードで地竜に突き進む。
あのサイズだとスピードが遅いかと思っていたが、あの樽のような物でなかなかのスピードを出している。
あれってどうやって動かしてるんだろ‥?
ミミウに聞いても多分精霊さんが動かしてくれてますぅとか言うんだろうな‥
多分磁力を使った動力を使ってるんだろうとは思う。
ノームは土の精霊だが鉱石に特化した精霊だからな。
鉱石からマグネタイトなんかを取り出して使ってるんだろう。
今度ミミウに頼んでノームにいろんな鉱石を探してきてもらおう。
ミスリルはもちろん、オリハルコンとかも手に入らないかな?
あと珍しい鉱石とか。
そんな事を考えているとミミウが地竜の元までたどり着いた。
地竜が近づいてきた異形な物に対して尻尾を振り回してきた。
するとミミウが4本の腕のうち盾を持っている腕で尻尾の攻撃をいなす。
おお!
あの状態でも攻撃をいなせるのか。
そして槍を構えている腕で地竜を刺突する。
もの凄い衝撃が地竜に加わり、地竜は地面を転がった。
だが地竜の物理防御力は多分ドラゴンの中で最も高い。
たとえミミウの槍でも‥
あれ?
地竜のたうち回ってるぞ。
外皮は硬いけど衝撃までは逃がせなかったんだろうな‥
地竜も起き上がってミミウに噛みつこうとしているが、盾を上手く扱っていなしている。
そして隙を見てミミウは胴体に攻撃を加えている。
展開は一方的だな。
地竜じゃミミウの防御を崩す事は出来なさそうだ。
氷竜や多頭竜と組んでブレスを使いながらだとかなり強力だと思うが、攻撃手段が少ない地竜ではミミウは崩せない。
しかしミミウが地竜を見ている目が、倒すべきモンスターというよりも食材を狩る時の目に見えるんだけど‥
盾と槍を使って戦っているが、ミミウは残りの2本を使って地竜の身体を絡め取った。
動きが取れなくなった地竜にミミウは槍で攻撃を続けた。
見た目がエグいなぁ。
しかし衝撃はあるみたいだけど、やはり地竜の外皮は破れないようだ。
お互いが決定打がない状態だな。
するとミミウが槍のノームを解除した。
そしてそのままノームは別の腕に取り付いた。
腕の一本が変化を始める。
そしてその腕は杭のような形になった。
そして地竜の身体を押さえつけたままその杭のような腕を地竜に打ちつけた。
槍と同じような結果になったと思っていたら、杭のような腕から高音が発せられる。
そしてその腕から爆音が響き渡る。
そして地竜の身体に当てられた腕から飛び出した杭が地竜の身体に風穴を開けていた。
なんだそりゃ‥
闘技会でガルヘア戦で使った技の応用か?
絶命した地竜を確認してミミウはスキル【精霊重士】を解除して倒れ込むように地面に座り込む。
「大丈夫かミミウ?」
「大丈夫ですぅ。ごめんなさい魔力が残り僅かみたいですぅ。」
あれだけの数の精霊を召喚したんだ。
確かに魔力切れにもなるわな。
時間として大体5分くらいだろうか?
しかし時間制限付きとはいえ出鱈目だなぁ‥
途中で槍から杭打ちに変えたのがよかったな。
あれも磁力を使って高速で杭を打ち出したんだろう。
硬い鱗がある表皮の防御力を一点に力を込める事で打ち破ったってとこだな。
「よく頑張ったなミミウ。あとはポーションでも飲んでキリーエと待機していてくれ。」
「マルコイさん!」
「ど、どうしたミミウ?」
「ドラゴンさんを新鮮なうちにマルコイさんの入れ物に入れておいて下さいですぅ!」
あ、なるほどね。
ミミウが魔力切れを起こすかもしれない危険を冒してまで地竜を倒した理由‥
食べたかったのね。
「わ、わかった。すぐに入れておくから安心して休んでたらいい。キリーエ頼めるか?」
「まかせて。しかしあのサイズのドラゴンを倒すなんてミミウちゃんもやるもんやね。」
「そうだな。こりゃ俺もうかうかしてられないな。」
俺は魔力が少なくなりウトウトし出したミミウを見ながらそう思った。
「ん〜‥ミミウはまずはステーキがいいですぅ‥」
うん。
最初はドラゴンステーキだな‥
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