第299話
オークキングはこちらを見て笑っている。
手も足もでないと思ってるのだろうか‥
手も足も出してやるからな!
俺の戦い方を知ってるかもしれない‥
それなら知らない事をするだけだ。
俺はエンチャント:雷をかけたま剣を鞘に納める。
オークキングは俺が剣を鞘に納めた事を訝しがっているが、攻め込んで来たりはしない。
やはり俺との距離は一定に保っているようだ。
警戒心が強く、おそらく確実に勝てるとわかるまで近づいてはこないだろう。
俺がこの距離を縮めようとしても別のオークがそれを阻むだろうな。
だったら向こうから近づいてきてもらおうか。
クラーケンと戦ったり『スペース』を使って空間魔法を使っていたおかげなのか空間魔法のレベルが上がった。
異世界の知識にある転移なんかを使えるようになるじゃないかと期待したが残念ながら違った。
でもそれに近い事ができるようになった。
「アキーエ。オークキングを直接攻撃する手段がある。だからすまないが少しだけオークの相手をしててくれ。」
「‥‥わかったわ。何かあるのね。任せといてっ!」
アキーエは近づいてくるオークたちを相手に拳を振る。
俺は剣を鞘に納めた状態でオークキングとの間合いをはかる。
オークキングを中心に円を描くように動く。
俺に正面から近づいてきたオークにアキーエの魔法拳が突き刺さる。
オークは崩れるように倒れ絶命する。
そのオークが倒れた時に、俺とオークキングの間に障害物であるオークがいない状態になる。
今だ!
俺は空間魔法を使う。
『スクレイプ』
空間魔法のレベルが上がり使えるようになった魔法だ。
この魔法も空間を操作する事ができる。
ただし足場を作った時のように空間を固めるのではない。
この魔法は‥
空間を削り取る事ができる。
一定の範囲にある空間を固めるのではなく、その場所から消去してしまう。
もちろん空間だけで質量のあるものなどは消すことはできない。
消した空間に人がいたとしても人には影響はない。
しかしその空間の外にある物や人は、その部分を埋めようと空間が働くため無くなった空間に向けて動かされてしまう。
周辺の空間だけなので遠くにいれば問題はない。
しかし無くなった空間の近くにいるものは引き寄せられてしまう。
つまり‥
オークキングがこちらに近寄ってこないなら‥
向こうからこっちに来てもらえばいいわけだ。
『スクレイプ』で空間を削り取った事で、オークキングが引き寄せられるようにこちらに向かってくる。
踏ん張ろうとしたのだろうが、俺が削り取ったのは俺の顔より高いくらいの場所だ。
残念だがその場所に引き寄せられれば、足は地面から離れる。
空中に投げ出されたオークキングは身体は制御出来ずにいた。
周りにいたオークも何が起こったのかわかっておらず呆然とオークキングを見ている。
さて手こずったが俺の勝ちだ。
エンチャント:雷を発動した状態の俺は剣を持つ手に力を込める。
一撃で決める!
『抜刀術:雷虎』
鞘に納めていた剣を引き抜きオークキングに放つ。
引き寄せられていたオークキングの身体は勢いをなくして地面に落ちる。
身体を2つに斬り裂かれて。
オークたちを指揮していたオークキングが絶命した事でオークたちが混乱する。
散り散りに逃げ出そうとしている。
「オークキングは討伐した!アキーエ!ミミウ!上位個体は逃すと厄介だ!出来るだけ討伐するぞ!傭兵団の人たちも3人で組んで上位個体を狙ってください!今までのような強さはないはずです!でも無理はしなくていいので!」
俺はみんなに指示を出して近場にいる上位個体を討伐するために走り出す。
オークキングが絶命した事で戦うべきか逃げるべきか迷っている上位個体を次々に斬りつけていく。
アキーエはもちろん、ミミウも傭兵団を護る必要がなくなったため上位個体を集中的に討伐している。
しばらく時間が経ち、俺たちは上位個体のほとんどを討伐する事ができた。
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