第298話

オークキングは悠然と歩み寄ってくる。


俺とアキーエは迎え撃つように構えを取る。


するとオークキングの背後からこちらを狙って矢が飛んでくる。


俺は飛んできた矢を剣で撃ち落とす。


その隙にオークキングはどこで手に入れたのか、巨大な大剣で攻撃を仕掛けてきた。


それを下がって躱すと別のオークが棍棒で攻撃してくる。

棍棒を剣で斬り払い距離を取る。


モンスターの違いか、オーガキングとは違いオークキングは1対1では仕掛けてこないようだな。


周りのオークを使い手数を増やしている。


厄介な‥


俺はエンチャント:暴風を使いスピードを上げてオークキングに迫る。

オークキングの側面から他のオークに隠れて死角から攻撃を仕掛ける。


しかしオークは俺が攻撃を仕掛けようとすると自分の身体を使い阻止しようと飛びかかってくる。


攻撃はしてこない。

ただ身体を張って俺がオークキングに近寄れなくしてくる。


飛びかかってきたオークを斬り捨てて再度オークたちから距離を取る。


オーガキングと戦っていた時もオーガが身を挺してオーガキングを護っていた。

だがこれはその比じゃないな‥

オーガたちは確かにオーガキングを庇っていた。

それはオーガキングを護るための行動だった。


しかしオークたちは斬られていいから俺たちを身体で抑え込もうとしている。

オーガはオーガキングに怯えていたが、オークたちは嬉々として向かってきているように感じる。


このままじゃ埒が明かない。


一気にケリをつける!


俺はエンチャントを全て発動させて、エンチャント:氷を発現させる。


氷塊を作り出しオークキングに放つ。


しかしすぐに近くのオークが氷塊に飛びつく。

氷塊にあたったオークはそのまま凍りつき動けなくなる。


やはりエンチャント:氷でも距離があれば防がれるか‥


俺は地面に手をつき魔力を流す。

小さな氷の波が俺の身体を離れると徐々に大きな氷の波となる。


これならどうだ?


すると周りにいたオークが氷の波に自分から飛び込んできた。


氷の波は次々と飛び込んでくるオークたちによって小さな波となりやがて消えた。


固まって動けなくなるオークたち。


しかしその後ろにいるオークキングやオークの上位個体までは氷の波は届いていない。


まるで知ってたみたいだな‥


別のオークと戦っている時に見られたのか?


ならこれはどうだ?


俺はエンチャント:氷を解除して、新たにエンチャント:雷を発現させる。


身体の周りを雷光が走る。


『紫電剣閃』を放とうと下肢に力を込める。


するとオークの群れが今度は一列に並ぶようにオークキングの前に立つ。



!?



なんだと?


俺はオークと戦う時にエンチャント:雷を使ってないぞ。


俺がエンチャント:雷を発動させたのを見て警戒してオークを俺の前に立たせたのか?


偶然にしては出来すぎてないか?


そのまま『紫電剣閃』を放つ。


俺が駆け抜けた後、オークたちが崩れ落ちる。


しかしやはりというかオークキングは無事のようだ。


オークキングの手前で身体を固めて防御しているオークの上位個体まで斬り裂く事ができなかった‥


なるほど。

もしかしたら本当に偶然が重なっただけかも知れない。


しかし嫌な予感が頭をよぎる。


アキーエが俺がオークを斬った後すぐにオークキングに攻撃を仕掛ける。


しかしまたしてもオークの壁が邪魔をする。


数匹を魔法拳で倒したが、数の暴力で押し戻された。


「マルコイ!どうするの?これじゃあオークキングまで辿り着けないわ。ミミウもこっちに呼んで3人で戦う?」


ミミウの【精霊重士】であればノームの力を借りて戦況を変えられるかもしれないな。


しかしその前に試したい事がある。


「待ってくれ。少し試してみたい事がある。」



上手くいけば、オークキングを倒せるはずだ。

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