第418話

今回作る200個のタコ焼き器は、通常作るとしたらかなりの長さになってしまう。

そのため、今回は25個の金型を8個作り、それを金具で繋げて折りたたみができるような作りにする予定だ。


最初に25個作れる鉄板を作るのだが、熱した鉄板をタコ焼きの形にへこましていく必要がある。


異世界にあるプレス機のような物はないため、手作業だな。


タコ焼きの大きさと同じくらいの鉄の棒の先端を丸くする。


これを熱した鉄板に押しつければ、タコ焼きの形のへこみができた。


これを同じように行っていくが、調子に乗って何度もへこませていると、熱によって鉄棒の先が変形してしまった‥


無骨な形に鉄板がなってしまったため、最初からやり直す事になってしまった‥


鉄よりも熱に強い金属があればいいのだが‥


異世界にはタングステンという鉄よりも遥かに融点が高い金属がある。

確か3,500度くらいだったか‥

だがタングステンはこの世界では使用されていない。


それにあったとしてもここでは不純物が入っている物だし、条件的にここで使用はできないか‥


う〜ん‥


それなら金の金型を作るか?

それなら鉄より低い熱で変形するから、鉄の棒で形を作れるだろ。

もしないようであれば、鉄の棒を白銀に変更するといいかな?

確か白銀の方が融点が高いみたいだし。


しかしこんな事まで異世界の知識で得る事ができてるのはすごいな。

料理はおそらく恵だろうし、こんな鍛治の知識や格闘技とやらの知識は正人だろう。

まあ余計な性癖なんかもついてきたけど‥

そう言えば、あやめは何の知識だったんだろうか‥?


「ガッスンさん、金ってたくさんありますか?それか鉄の棒くらいの白銀とか?」


「金ですか?そんな高価な物うちにはありませんよ。それに金なんて装飾屋でしか取り扱ってないじゃないんですか?鍛冶屋では装飾に使うくらいですし。しかし何でまた金が必要なんで?」


「いや、鉄より低い温度で変形する金属を使おうかなと思って。」


「いや‥‥だったら旦那。銅を使ってください。だいたい金の調理器具なんて何処のお貴族様ですか。その調理器具の防犯で人がいりますよ。」


あ、そりゃそうだ。


「た、確かにそうですね‥。すいません、鉄を基準で考えてました。そしたら銅はありますか?」


「もちろんありますぜ。それじゃあ銅板で調理器具を作っていきましょう。」


「ありがとうございます。それと一つだけでいいんで、金の金型も作りたいので金を用意してもらっていいですか?」


「へぇ。そりゃ仕入れ先に相談すりゃ何とかなると思いますが‥なんでまた?」


200個作るのは銅の金型でいいけど、金の金型ってのも面白いかなと。


「そうですね。せっかくタコ焼きって料理を目玉にするんであれば、金のタコ焼きの金型を記念像として飾ろうかなと。」


「ふ〜ん。わかりやした。やっぱ大成功する商会さんは違いやすね。発想というか着眼点が違いますね。俺達じゃとてもそんな物作る発想はないですからね。」


若干引かれている気がするのだが‥

まあいい。

俺が好きで飾るんだからな。

決して銅の発想がなくて、恥ずかしかったからじゃないんだからね。


とりあえず金型の材料も決まり、後はガッスンさんに任せる事にした。


さすがスキル【加工】持ち。

俺よりも数倍手際がいいし、何より素材の融点が見てわかるのか、銅があっという間に形を変えている。


あれって金属で色々作るのに便利そうだなぁ。


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【加工】を模倣しました。』


よしよし。

これでスキル【スードウクリエイター】のレベルが上がって金属の操作ができるようになったら、もっと作業が早くなるだろう。


これでより効果的で、壊滅的な威力の魔道具を作れるようになるかな?


あ〜、早く試してみたい。

宿にいる間にスキルのレベルを上げるために、木偶爆弾を作りまくるかな‥


(ピコーンッ)


あれ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る