第417話
「そうですよ。施設の目玉になるやつを作る必要があってですね。人の顔くらいの大きな金型とか、小さな丸い食べ物を200個くらい一気に作る金型とか。ちょっと作るのが大変なんで、道具が揃ってる場所を借りれたらありがたかったんですけど。とりあえず他の場所をあたってみます。それじゃあ。」
「ちょ、ちょちょちょちょ、ちょっと待って。いや待って下さい!」
ん?
なんだ?
まだ何かあるのかな?
「その新しい施設の目玉になる物を作る?お前‥いや貴方様はもしかしてホット商人の関係者のお方で?」
そうだな‥
関係者というか、一応会長って事にはなってるな‥
「そうですね。一応関係者って事になりますね。それが何か?」
「いやいやいや、関係者なんですね!それなら早く言っていただければよかったのに?うちの鍛冶場でよければ幾らでも使っていただいていいですよ!もうお人が悪いなぁ、最初から言っていただければすぐにお貸しさせてもらったのに。」
え?
そうなの?
「でも今立て込んでるって言ってましたよね?大丈夫なんですか?」
「その立て込んでるのは、ホット商会さんが新しく施設を作っていただいたおかげで、武具を新しいお店に出させてもらう事になったんですよ。だから大急ぎで量産型の物を作ってたんです!」
あ、そうなんだ。
それじゃあ鍛冶場貸してもらったりするのかな?
「その金属板ってのは、ホット商会から直接の依頼なんですか?そして貴方がそれを依頼されたって事ですよね。依頼されたのは本部の方ですか?」
「そうですね。本部と言っていいのかな?一応副会長に頼まれたんですよ。」
すると、驚いた顔のまま固まる男性。
「そ、そ、それは大仕事じゃないですか!わかりました。どうぞうちの鍛冶場で作ってください。あと俺と俺の弟子なんかもお手伝いさせてもらいますんで、すぐに取り掛かりましょう!」
な、なんだ?
いきなり協力的になった上に手伝いまでしてくれるなんて。
ありがたいけど、どうしたんだ?
「ささ、此方にどうぞ。どんな物を作られるんですか?」
「ありがとうございます。これが設計図になります。これに沿って作ります。あと俺の名前はマルコイといいます。よろしくお願いしますね。」
「ああ!すみません!俺の名前はガッスンと言います。この街では一応古参の鍛冶屋になります。」
ガッスンは俺が渡した設計図を見る。
「ほう‥こりゃすごい。細かな部品まできっちりと長さまで記載されてらっしゃる。これはマルコイの旦那が作られたんで?」
「そうですね。見様見真似ですけどおかしな所ありませんか?」
ガッスンはしばらく設計図を見つめる。
「すみません、俺は設計は専門じゃないんですが、おそらく【設計士】のスキル持ちに比類するんじゃないですか?」
模倣スキルではあるがレベル1の【設計士】と同じ事はできるからな。
見習い設計士と同じくらいか?
「ガッスンさんは鍛治士になるんですか?」
するとガッスンはギルドカードを見せてくれる。
「いや、俺は【加工】ってちょっとばかり特殊なスキルになります。鍛治士と同じようなスキルになりますけど、鉄などの金属の加工に特化してます。防具の金属の留め具などの小さな金属の加工から、剣などの大きな金属の加工を得意とします。全部自分で仕上げる事はできますが、いい物を作る為には仕上げを【装飾士】などに頼む事になりますし、切れ味を上げるにはスキル【研磨】持ちなどに頼む事になりますけどね。」
なるほど。
しかし今回の金属板を作るには最適の人じゃないか?
それにこれで俺が模倣スキルで【加工】を模倣する事ができたら、いい物ができそうだな。
「ちょっと試しに作ってみましょうか?これなら俺の得意分野ですから。」
「それじゃあ設計図に書いているタコ焼きを200個を作る為の金属板一部を作ってもらっていいですか?」
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