第148話

『エンチャント:火』を使って膂力はこっちが少し上回る程度か。

なんて馬鹿力しているんだか。


バラックスさんは笑いながら間合いを詰め連撃を放ってくる。


笑顔がこわいってば。


一つ一つ防いだり躱したりしていく。

攻撃の合間の隙を突くつもりだが、なかなか攻撃がやまない。


このままだと押し切られそうだな。

そう思い防御するだけではなく、途中で反撃を試みる。

剣撃の間にこちらも攻撃するが、いなされ余計に攻撃される。


とまらない‥


このおっさんどんだけ息が続くんだ?


力を込めて剣を弾く。

するとバラックスさんは剣が弾かれた勢いでそのまま大きく下がる。


「ぷふぅ。はぁはぁ。凄いなあんだけ入れたら普通は1回2回は攻撃を受けるもんなんだがな。ダメージを与えられないとは思わなかったぜ。」


肩で息をしながらこちらを称賛するバラックスさん。


「でももうちょい上がるんだわ。ただ力任せにに斬りつけるだけなんだけど、いつの間にか武技にまで昇華してよ。でよ、せっかくだからって仲間が名前までつけてくれたんだ。」


バラックスさんは間合いを詰めながら笑みを浮かべる。


「いくぜ‥連撃剣舞っ!」



まだスピードが上がるのか‥


じゃあこっちも切り札を一枚切るとするか。





本戦に向けて訓練をすると共にスキルも模倣していった。

ただ何を模倣すればいいって明確な物もなかったので、アキーエと街をぶらつき、知人相手に怪しまれない程度に適当に模倣した。


数は多くないしほとんど模倣するだけだったけど、一つだけ統合して有用なスキルになった。


模倣したスキルは【演算】。

アキーエがよく行く本屋さんの人が持っていたスキルで商人ギルドに登録している人だった。

商人のスキルとして便利だなと思い、キリーエに『譲渡』しようと模倣させてもらった。


その【演算】が統合するとは思ってもいなかったが、【演算】とスキル【直感】【探索】が統合して、新たなスキル【予測変換】となった。


このスキルは相手の動きやクセ、この他の情報を集め脳を酷使して相手の動きを予測するものだ。 

情報がない武技があったとしても、ここで何かをするだろうといった予測もできる。


1秒先を予測するような反則的なスキルだが、制約もある。


まず初見では情報がないので予測ができない場合もある。

しかし予測できないだけであって、惑わされるような予測をする事はない。


それと‥


使うとめっちゃ頭が痛い。


連続で長時間使わなければ問題はないが、分単位で使用すると頭が割れるように痛む。

途中で使用を中止してしばらくしてから使うのは問題ないが、連続使用すると頭が破裂するかと思う程痛かった。


『譲渡』でキリーエにスキルを渡す事はできなかったけど、おかげで有用過ぎるスキルを得る事ができた。


仲間内で使用したら予知能力かってくらい完璧な予測だった。


そしてさっきの連撃で情報はほぼ集まったといっていいだろう。


ここから反撃だ!

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