第147話

なんだあれ?


やばいかっこよすぎる!


「なあアキーエ。あの人って有名なのか?」


「そうね。彼は今SSランクに1番近いって言われている人よ。スキルで様々な鎧を装着して闘うみたいで、そして今回の闘技会で圧倒的な優勝候補としてあげられてるわ。」


そうなのか。

アキーエ物知りだな。


何故かアキーエがジト目で見ている。


「マルコイくらいよ。闘技会の事を調べたりしないのって。」


なにっ?

ま、ま、まさかミミウも調べていたのか?


「まあミミウは闘技会に出店されるお店を調べてたけどね。」

 

よかったミミウはミミウだった。


しかしかっこよかったな!

どうにかしてお近づきになってスキルを模倣できないかな?


俺もあんな風に鎧を装着してみたいなぁ。


「マルコイ!そんな事よりトイレには行ったのよね?出番は次なのよ!」


「はいはい。お母さんトイレには行きましたよ。」


「誰がお母さんよっ!」



さていよいよ俺の出番だな。





「それでは第七試合を始める。バラックスとマルコイの両名は場内に。」


やっと呼ばれた。

なかなか待ちくたびれた。


バラックスさんにはスキルを模倣させてもらう時の模擬戦で負けたからな。

でもあの時より俺は強くなっている。

もしあの時バラックスさんが本気を出してなかったとしても今の俺なら遅れをとる事はないはずだ。


闘技場内に入る。

先に入って待っている人を見る。

ニヤニヤしているおっさんだ。


「ようマルコイ!まさかお前とここで闘う事になるとは思わなかったぞ!あれからどれくらい強くなったんだ?お前は伸び代が凄かったからな。もう俺に届く程強くなったのか?」


「さあどうでしょう?闘ってみたらわかる事ですよ。」


「ああ確かにそうだな。楽しい闘いにしようぜ!」


まったくやっぱりバラックスさんは脳筋だな。


それじゃあの頃より強くなった自分を見てもらおうか!


「両者準備はいいか?それではAランク冒険者バラックス対Bランク冒険者マルコイの闘いを始める。それでは始めっ!」


俺の闘技会本戦の闘いが始まった!






バラックスさんは開始後すぐに俺に向かって来た。

やっぱりこの人は様子見とかする人じゃないよな。


『エンチャント:風』を使いスピードを上げる。

こちらに向かって来ているバラックスに対して、体勢を低くしてこちらも距離を詰める。


こちらの速さに多少驚きはしたものの、バラックスさんはニヤリと笑い近づいてきた俺に上段から剣を振るう。


「おらっ!」


剣の軌道を逸らそうとしたが、脳筋で馬鹿力の剣は軌道を逸らす事が出来ずに受け止める形となる。


「この馬鹿力めっ!」


剣の軌道を変えてそのまま横に滑り込んで一撃与えようと思ったが、思っていたよりも剣が重い。


やはり模擬戦の時はあれでもかなり手加減していたんだな。


『エンチャント:火』を使い筋力を上げる。

押し込まれていた剣を力任せに弾く。


「おお!なんだその力は?なんだマルコイ。お前まだまだ色々と隠してそうだな。面白いぞ!」


バラックスさんは顔に深い笑みを浮かべていた。

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