第146話

圧倒的な強さでロメントが勝ち上がった。

流石にSランクだ。


しかし会場に出場者全員が集まった時にもう1人同じような雰囲気を持った人がいた。

たぶん彼もSランクではないかと思っている。


彼の試合は六試合目だからこの試合の後になるな。

しっかりとその実力を確認しなくては。


会場では第五試合が始まっている。


大剣を軽々と扱っている男とアマンダさんの試合だ。


アマンダさんはスキル【身体能力向上】を使いアキーエと同じようにガントレットで闘っている。

しかし残念ながらスキルを使用しても相手の方が格上のようだな。


相手の大剣の取り扱いが上手い。アマンダさんの攻撃を大剣を盾代わりにして防いでいる。


攻撃にしても一撃が重い。

アマンダさんもガントレットで防ぎはしているが、身体が悲鳴を上げているように見える。


するとアマンダのスピードが一段階上がった。

おそらくスキル【強化】を使用したのだろう。

身体レベルが強化されるスキル【身体能力向上】と相性がいいスキルだが、タイムリミットがある。

使用している間に倒す事ができればいいが‥


アマンダさんの攻撃とスピードが一段階上がった事に相手も気づいたようだが、焦らずに対処している。


大剣使いの攻撃する回数が減りはしたが、堅実にアマンダさんの攻撃を防御している。


そしてタイムリミットがきたのだろう。

アマンダさんの動きに精彩さがなくなった。


アマンダさんの動きが止まった所に大剣が上段から襲いかかる。

辛うじてガントレットを使い両腕で防ぎをしたが、その場で膝をつかされる。

そしてそのまま何度か上段からの振り下ろしをくらいガントレットが割れた‥


そして大剣使いはアマンダさんの頭で剣を止める。


「参った‥」


アマンダさんが負けを宣言した事により、勝者が決定した。






「それでは第六試合を始める。リュストゥングとノーマラの両者会場に。」


会場に2人の男が上がった。

1人は剣士だろう。

ロングソードを持っている。


そしてもう1人は何も持っていない。

髪型は金髪を短く刈り込んでいる。

そして身体は筋肉質でデカい。

ロングソードの男と比べても1.5倍は縦も横もあるように思わせる。


厳つい顔は無表情で目を瞑っている。

武器らしい武器を持っていないので素手で戦う格闘士なのだろうか?


「それではSランク冒険者リュストゥングとAランク冒険者ノーマラの闘いを始める。」


「始めっ!」





開始の合図と共にロングソードのノーマラがリュストゥングに向かって走り出す。


ノーマラがそのまますれ違い様に斬りつける!


「『着・闘鎧』」


ノーマラの剣は甲高い音を立てて弾かれた。


リュストゥングがいつの間にか装着している鎧によって。


「くっ!やはり通じないか!」


ノーマラは剣を手元に引き突きの構えをとる。


そのまま鎧の間接部分に向けて突きを放つ!


リュストゥングは身体を少し動かして突きを鎧部分に誘導する。


ノーマラの突きはまたも弾かれ隙を作ってしまう。


そこにリュストゥングは拳を握りしめ突きを放つ。


ノーマラはリュストゥングの拳と自分の身体の間に剣を滑り込ませて防御しようとする。


金属が割れる音が響く。


リュストゥングの拳はノーマラの剣を砕き、腹部に直撃していた。

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