第149話

スキル【予測変換】だけでは全部捌ききる前に俺の頭が破裂してしまう。


だから俺の持っているスキルをフル活用させてもらう。


『エンチャント:土』で防御力を上げ、スキル【堅牢】をかける。


「はぁー!」


バラックスさんが間合いを詰めて連撃を放つ。


右、左、上とスキル【予測変換】が予測したように攻撃を避ける。


何回避けたかわからないが、頭が少しチリチリとしてきた。


そして少しだけ大振りになった下からの攻撃を予測した。


バラックスさんの攻撃は速くて重い。

しかしそれが連撃となれば一撃の重さは軽減する。

なら『エンチャント:土』とスキル【堅牢】があれば一撃は防げる筈だ。


ずっと待っていた下からの攻撃に合わせて、『エンチャント:火、エンチャント:風』を発現させる。

ついでに【身体能力上昇】も追加だ!


バラックスさんは無防備に突っ込んでくる俺を不審に思ったようだが、すでにモーションに入っており勢いは止まらずそのまま下段からの攻撃をする。


すると甲高いガラスのような物が割れる音がした後にバラックスさんの剣は弾かれる。


タイミングは完璧だ。

スキル【予測変換】にてバラックスさんの反応する一歩先で動く。


がら空きになったバラックスさんの胴を俺の剣が撫でる。



全ての動きが終わった後に、血飛沫と共にバラックスさんは地面に倒れ込んだ‥






「なんじゃそりゃ?お前俺の動きを予測してたみたいな動きだな?面白いじゃねーか!よし!続きだ!」



は?


バラックスさん‥

腹から血が溢れて出てますけど‥?


「そ、それまで!勝者マルコイだっ!」


慌てて大会の人が割り込んでくる。


「馬鹿かお前!こっからが面白いところじゃねーか!勝手に止めるんじゃねえよ!」


バラックスさんは血が溢れ出ているのに、場外に連れて行くために入ってきた大会関係者の数人と揉み合っている‥


「くっそ!マルコイ!またやるぞ!絶対リベンジするからな!待ってろよーーーーー!」



バラックスさんは回復魔法をかけられ引き摺られながら会場を後にした。




絶対リベンジ受け付けません‥


なんですかあの人?


お腹あんだけパックリいってて元気なんて生き物じゃないな‥


今後は出来るだけバラックスさんに近寄らないようにしよう‥





「おかえりなさい。快勝だったじゃない?」


場外に降りてきた俺をアキーエとミミウが迎えてくれた。


「見た目は快勝だったけど、かなりやばかったよ。バラックスさんめちゃくちゃ強かった。次は同じ手は通用しないと思う。でも今回は俺の勝ちだ。」


「バラックスさんってSランクの候補に入ってるらしいよ。だからその人に勝てるなんてマルコイはSランク並みに強いって事ね。」


そうなのか。

確かに他のAランクの人を見てたが、彼らより強かった気がする‥


「マルコイさんかっこよかったですぅ!」


うんうん。

ミミウさんの素直な称賛はとても嬉しいです。


これで俺たちのパーティは全員が一回戦を勝ち進む事ができた。


全員が勝てるとは思っていなかったが、それだけ皆んなが強くなったって事かな。


闘技会の一回戦は残りあと一試合。


アイツがでる試合を残すだけとなった。

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