第150話

「それでは次の闘いを始める。ロッフトとガルヘアの両名は場内へ。」


すると弓を手に持つ男とアムテルさんと闘ったガルヘアが場内に入ってきた。


「それでは今より闘技会第八試合、Aランク冒険者ロッフトとBランク冒険者ガルヘアの闘いを始める。」


ロッフトは手に持っていた弓を構える。

背中にはいくつか矢筒を背負っている。

少し動きにくそうな気がするが、闘ってる最中に矢がなくなってしまったら弓士は闘えなくなりそうだから最初から大量に持ち込むだろうな。


ガルヘアは変わらず素手での格闘のようだな。

ガントレットすらつけていない。


「それでは始めっ!」


開始の合図と共にロッフトは後ろに下がりガルヘアとの距離をとる。


闘技会で弓を使う人は珍しくないのだろうか?

魔法使いは参加しないと聞いていたが、弓も遠距離だ。

魔法使いのように近距離での闘いが苦手のようなイメージがあるが‥


「なあアキーエ。弓士の人の参加は珍しくないのか?」


「弓士自体の参加はやっぱりあんまりないわね。でもロッフトさんは近距離でも相手を捌くのが上手いのよ。だから近距離が得意な相手からするとかなり分が悪い相手じゃないかしら。」


なるほど。

できればアイツはアキーエやミミウとはあたって欲しくなかったからな。

ここで負けてもらうと助かる。


ロッフトはガルヘアが向かって来ない事を訝しがっている。


「俺が弓士だってのは見てわかるよな?なぜ間合いを詰めてこない?」


ガルヘアは特に返事をする事もなく口元に笑みを浮かべながらロッフトを見ている。


「ふん。まあいい。何を考えていてもこの距離なら俺が負ける事はない。それじゃ始めさせてもらおう。」


ロッフトは矢に手をかけ弓に番える。

そしてそれを‥

上方向に放った!


放った矢を見ているとロッフトはすぐに次の矢を番て放った。


真っ直ぐとガルヘアの顔を狙っている。

ガルヘアは前からきた矢を首を傾けて避ける。

そして少し後ろに下がり上からの矢を避けた。


「矢は見えているようだな。それじゃどんどん行くぞ。」


う〜ん。

俺だったら最初の矢を目で追ってる間に真っ直ぐきた矢にやられてる気がする‥


ロッフトは手に何本かの矢を持ち全てを上に放った。

そしてガルヘアに向かい矢を番える。


上を避けたら前から矢を射られる。

でも上を見ないと上からの矢は避けられない。

これはやっかいだな。

どう避ける?


するとガルヘアは一瞬だけ上を見る。

その瞬間にロッフトは矢を射る。


ガルヘアは半歩だけ左に避ける。

そして前から射られた矢を‥

掴む!


「なんだと?」


ロッフトが驚いていると上からの矢が、先程までガルヘアが立っていた場所に刺さる。


あの一瞬でどこに矢が落ちるのか見極めたのか。

コイツ実はモンスターか何かで頭に目がついてるんじゃないのか?


しかしすぐにロッフトは矢を取り出して射る。

今度はガルヘアがいる方とは別の方向に射っている。


すると矢は突然途中から軌道を変えてガルヘアのいる方に向かっていった!

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