第200話

オーガの上位個体であるオーガソルジャーはブルーオーガよりも皮膚の硬さ、膂力が高いようだ。

AランクとBランクが組んでいる人たちはいいが、Bランク同士で組んでいるところは押されているようだ。

幸い数はそれほど多くないので、何とか持ち堪えているが個体数が増えると戦況がひっくり返りそうだ。


近くに現れたピルツさんを吹っ飛ばしたオーガソルジャーを相手するべく剣を構える。

すると俺の横をするりと滑るように避けて前に出る人がいた。

アキーエだ。


「ごめんねマルコイ。あのオーガはわたしがもらうわね。」


そう言い残して、オーガソルジャーに向かい駆けていくアキーエ。


「ちょ、アキーエ!1人で無理するな!」


俺の声が聞こえたのか、こちらに笑いかけながら指で丸のサインをする。


自分の懐まで入ったきたアキーエに対してオーガソルジャーは丸太のような腕を振り下ろす。


しかしアキーエはその拳をそっと触り、力の向きを変える。


するとオーガソルジャーの腕はそのまま空をきり、オーガソルジャーは大きく体勢を崩す。


そして隙だらけのオーガソルジャーの身体にアキーエは両手を添える。


アキーエの両手が赤く淡く光ったと思ったら、その光がオーガソルジャーの身体に吸い込まれた。


オーガソルジャーは突然動きを止めた。



そして‥



数秒後にオーガソルジャーは目や口から煙を出しながら倒れ込むように地面に崩れた。





え?

なにそれ?


その様子を確認した後にアキーエはブルーオーガの元に向かう。


ブルーオーガがアキーエに気づいて振り返るが、アキーエの拳がブルーオーガの腹部に入る方が早かった。


またアキーエの拳が赤く淡く光ったが、今度は手を添えるのではなく勢いよく振り抜いた。


するとブルーオーガの腹部が破裂する様に爆発した。

ブルーオーガの腹部辺りがほとんど炭化してなくなっている‥


え〜‥

なんでアキーエさん爆弾化してるの‥


あれがスキル【魔闘士】としての力なのか?


アキーエは2匹の上位個体を倒すと此方に戻ってきた。


「アキーエ‥なんですかあれ?めっちゃ凄いんですけど‥」


「え?あれは前から使ってた相手に魔力を流す技よ。別に以前と変わってないわよ。」


「魔力を流すってあの木を爆発させたり魔道具の魔力を無力化したりしたやつか?でもあんなにちょっと見てるこっちが怖くなるくらいの威力はなかったんじゃないのか?」


「え‥見てて怖かったの‥?え?ま、まあ魔力が全て相手に通るように魔力を気で包んでる事はしてるわ。今までやってた事の効率化をよくしたって感じになるわね。ゆっくりと威力あるものにしたり、そのまま魔法として放射するにしても相手に当たるタイミングで放射するまで気で止めてたりとかね。出ていきたい魔力を気で抑えて勢いをつけてるって感じになるかしら。それよりも怖いって‥」


前に向かう力を別の力で抑えつけて、威力を増しているって事なのか。

【魔闘士】の魔力操作によってできているんだろうな。

そんな細かな操作までできているんなら、魔法を速射していたのも納得できる。



【魔闘士】はアキーエが今まで考えて実践しようとしていた事を実現させてくれるスキルだったようだな‥

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