第201話

「でもアキーエが宿の木をぶっ壊して、俺が怒られてなんでやねんっ!ってなった時には対象が木で魔力がなかったから爆発したって言ってなかったっけ?」


「あ、あの後怒られてたのね‥ごめんね。オーガはモンスターの中でも魔力が少ないから通りやすかったのはあるわね。あとは魔力をオーガの中に流した時に気で魔力の周りを包んでいたの。それをオーガの腹部から流して身体の中央辺りで破裂するようにしただけよ。」


いや、しただけよって‥


「今のところはそこまでってとこね。他にも色々考えてはいるけど、実行するにはもう少し魔力の扱い方が上手くならないとね。だからスキルのレベルアップのためにもオーガ討伐頑張ってくるわ!」


そう言い残してアキーエはオーガに向かって走り出して行った。


なんだろう‥

アキーエがとんでもない人になっていく気がする‥


あ、向こうでオーガが吹っ飛んでる。

アキーエは今あそこら辺にいるんだな‥


まだオーガジェネラルやオーガキングを発見できていないので油断はできないんだけど、仲間が凄くてそっちに意識がいってしまう‥






アキーエの活躍をぼんやりと見ていると突然サブマスターから指示が飛ぶ。


「オーガジェネラルを発見した!右翼の中央付近に進んできている!周囲の冒険者は最大の注意を払えっ!」



ついにオーガジェネラルが現れたようだな。

オーガソルジャーを相手しようとしていたので少し距離がある。

周りにオーガの上位個体がいない事を確認した後に、オーガジェネラルがやってきている方向に向かう。

アキーエは相変わらず暴れているのでとりあえずミミウと2人でオーガジェネラルの元に向かった。


俺たちがオーガジェネラルの元にたどり着いた時には冒険者たちがオーガジェネラルと戦っている最中だった。


オーガジェネラルは体格こそオーガと変わらなかったが、武器を持っていた。

いや、正確には武器ではなく身体の一部なのだろう。

右腕の肘から下が槍のような形状になっている。

モンスターとして産まれた時からその形状なのか、突然変異でそうなったのかわからないが、殺傷力は拳の比ではないだろう。


戦っている冒険者はどうやらバラックスさんのようだ。

バラックスさんとシクーさんの2人で当たっているが、どうやら押されている‥


「はっはー!やっぱオーガジェネラルはつえーな!このままじゃまた半殺しにあうかもしれねーな!」


「バカな事言ってるんじゃないわよ!撤退するか応援呼ぶかしないとこのままじゃ本当にやばいわよ!」


「撤退つってもそんな隙を与えてはくれないし、俺達が撤退したら他に被害がでるからな。このまま粘って誰か来るのを待つしかないだろ!」


バラックスさんは剣でオーガジェネラルの攻撃をいなしているが、シクーさんは捌けないためか避ける事に専念している。


「おっ!マルコイよかった手伝ってくれ。」


バラックスさんが俺を見つけて声をかける。

その声につられてシクーさんの意識が一瞬だけ逸れる。

その隙を見つけたオーガジェネラルがシクーさんを攻撃する。

普段のシクーさんなら避けれただろうが、踏ん張った足が滑り体勢を崩す!


俺もバラックスさんに意識が行き反応が遅れる!



その場に金属同士がぶつかったような大きな音がした‥



誰もがオーガジェネラルの槍に貫かれたと思ったシクーさんの前には、タワーシールドで槍を防いだミミウが立っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る