第250話

負けたカリーンさんは自分の手とミミウを見比べるように見ている。


そりゃそうだな。

自分の半分くらいしかないような娘に負けたんだもんな。


俺も負けたからわかるけど、やっぱりミミウは凄いな。

本当に仲間で心強い。


そしてミミウは優勝したので、金貨と商品をもらっている。

もちろん食べ放題みたいだな。


「えへへ。これで1ヶ月は遠慮しなくてお腹いっぱい食べれるですぅ!」


なっ!


ミミウがあの食事量で遠慮していただと?


その事実にキリーエさえ驚愕している。


う〜ん。

少しホット商会の心配をしてしまうな‥




こうしてみんなのおかげで祝勝会は楽しく終わっていった。






次の日からさっそくスキル模倣のために準備を始めた。


ギルドカードを持っている人は提示してもらい、持っている人は俺が闘い、持ってない人はアレカンドロに闘ってもらった。


もちろん身分証を持っている騎士も俺が闘った。

騎士はやはり模倣の対象にはならなかったが、冒険者とは闘って騎士とは闘わないと変に思われるし、騎士からは逃げていると思われるのも嫌だったからだ。

しかし思った以上に対人戦の経験を積むことができたのでよかったと思う。


模倣対象が冒険者だけだったので模倣したスキル自体は少なかった。

だがわざわざ挑んでくる人たちだから持っているスキルも優秀な物が多かった。

稀有なシングルスキルの人だったりダブルスキルもちらほらいた。


負けないのが前提にあるものの、スキルによっては苦戦した人もいた。


いくつかあるが、その1つがスキル【縮地】だった。

使用する事で一瞬で移動するスキルなのだが、事前にギルドカードを見てなんとなく想像はついたが予想以上のスピードでびっくりした。


初見で攻撃を喰らわなければ2回目以降は問題ないだろうと思っていたが、攻撃の合間に使用されるとタイミングが狂い隙を作ってしまう。


しかし優秀なスキルだけあって制約はあるようで、連続使用は出来ず、体力の消費が激しいようだった。

実際数回使用したら動きが急に遅くなったため勝利する事ができた。


覚えてさっそくアキーエと組み手をして使ってみたら移動の速度やら距離が安定せずにアキーエに頭突きをかましてしまった。


かなり痛かったしアキーエも痛かったと思うけど頭をヨシヨシしたら許してくれた。


最近アキーエの反応が少し可愛くなった。

調子に乗ってくんかくんかしてたら腿蹴られたけど‥


他にもいくつか有用なスキルを手に入れる事ができた。

残念ながら、統合や譲与結合などはできなかったが模倣でも十分効果が得られるスキルだったので使えるように訓練しないとな。


そんなこんなで闘技会が終わった後ももらった家で有意義な時間を過ごしていた。




ある夜寝ていたらスキルが反応した。

スキル名は【察知】

これも模擬戦に挑戦してきた冒険者から模倣した物だが周囲の気配を感じる事ができる。

レベルが高くなるとモンスターまでの距離やどれくらいの数がいるなんて事がわかる。

模倣スキルだとレベル1なので、俺の【察知】だとこの家を含めて家の外を数メートルといったところか。

常時発現スキルのためパーティメンバーがどこにいるかわかる。

今は深夜なので全員が自分の部屋にいる。


なのでパーティメンバー以外の人が家の外にいるのがわかる。

俺はすぐに側に置いている剣を持ち部屋の外に出る。


忍び足で進む部外者に後ろから声をかける。


「なんのようだ?こんな時間の訪問は受け付けてないぞ。」


俺の頭にはガルヘアが言っていた「これからはお前が狙われる」という言葉が頭をよぎっていた。



「ちっ!見つかってしまったか。お前はなんだ?護衛か何かか?それとも一緒にいる冒険者か?まあいい邪魔しなければお前は殺さないでやってもいい。そのかわりキリーエとかいう女の部屋を教えろ。」


狙いはキリーエ?

何故だ?

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