第249話

勝ち残ってるのは俺とミミウ、モラさんとカリーンさんだ。


うん。

誰と当たっても勝てる気しないな〜。


唯一モラさんならさっきのアキーエとな試合で疲労してるから勝てそうな気がする。

カリーンさんとミミウについては疲労があっても‥


しかし俺は持ってる男です。

おそらくキリーエは盛り上がるために俺とモラさん、ミミウとカリーンさんの勝負にするはずだ。


「それでは準決勝第一試合は‥マルコイさん対ミミウちゃん!」


ほら。

やっぱり俺とモラ‥


違うやん。


優勝候補と当たってるやん。


「それじゃマルコイさんとミミウちゃん準備お願い。」


てっきりキリーエの匙加減かと思ってたのに‥

普通にくじ引いてたのね。


俺がテーブルにつくとミミウもやってきた。


テーブルで手を組む。

もにもにと柔らかい手だ。

これが強いなんて思えないぞ。


もしかしてワンチャンあるかも。


「マルコイさん手加減なしですよ〜。ミミウも全力でいきますぅ!」


よし!

全力でお相手してあげよう。


「それじゃ準備いいんかな?始めるよ。‥‥‥始めっ!」


合図と同時に腕に力を込める!

あれ?

手触りはもにもにしてるけど、全く動かないんだけど?


やっぱり強いんですね‥


しかし俺は奥の手を持っている!

エンチャント:爆炎!

腕に今まで以上の力がこもる。

少しずつだがミミウの腕が動き出す。


勝てるかっ?


するとミミウがものすごい力で押し返してくる!

おいおい。

俺って今剛腕持ちくらいの力になってると思うんだけど?


やがて俺の手がゆっくりとテーブルにつく。


「勝者ミミウ!」


まじか‥

スキルまで使って全力でいったのに負けてしまった‥

ミミウさん‥

どんな腕力してるんですか‥?




闘技会優勝者が負けるという波乱が起こってしまったが、試合は続く。

波乱と思ってるのは俺1人のようだが‥


次の試合はモラさんとカリーンさんだった。

お互い先程の試合で疲労していたようだが、剛腕持ちのカリーンさんが終始有利に闘いを進めて勝ちを収めた。


「がっはっは!勝ったぞ!これで決勝だ!」


と男らしく言っているカリーンさんに対してモラさんは「あ〜あ、負けっちゃったか。テヘッ。」とか言っている。


これでテヘッと言っている方が男なんて誰が思うだろうか‥

お互いの性別逆じゃないか?


あれってわかってやってないよね。

でも狙ってるとしか思えん。

あざといが、可愛いから手に負えんな。

やはり可愛いは正義である。




いよいよ腕相撲大会も大詰めを迎えた。

決勝戦は我がパーティの小さな要塞ミミウとパーティ『獅子の立髪』の怪力お姉さんカリーンさんの対決だ。


見た目からするとミミウには勝てる望みは全くないように見えるけど、あの小さな身体には恐ろしい程のパワーが秘められている。

バラックスさん3人分くらいかな。

いや5人分くらい‥


対するカリーンさんは大柄な虎族の女性で元々のパワーにスキル【剛腕】持ちだ。

パワーだけで言うなら高ランクの冒険者とも渡り合える。

実際決勝まで来てるしな。


「それじゃ決勝始めるよ!ミミウちゃん対カリーンさん!こちらへどうぞ!」


2人がテーブルにつく。


「悪いが腕力で負けるわけにはいかないからな。優勝は私がいただくぜ。」


カリーンさんが腕をブンブンと振り回している。


「ミミウも負けないですよ〜。」


対するミミウも腕を回している。

ブンブンじゃなくてプンプンって感じだけど‥


お互いがテーブルの上で手を握る。


「それじゃ始めるけど準備はいい?‥‥‥‥それじゃあ始めっ!」


キリーエの合図と共にカリーンさんが力を込める!

腕の筋肉が盛り上がりテーブルが震える。


しかし腕は動かない!

ミミウの腕はぴくりともしない。


カリーンさんの顔が真っ赤になる。

力を最大限に込めているようだ。


するとミミウにしては珍しく気合を入れる。

気合を入れると言っても「ふんっ!」くらいの感じなのだが、一気にカリーンさんの腕が持っていかれる。

そしてそのままカリーンさんの腕がテーブルにつく。


優勝者が決まった瞬間だった。


ミミウってあんなに強いの‥?



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