第896話

俺は周りにいるオークたちに剣を向ける。


この場を囲んでいるオークはふつうのオークたちだ。


気をつけるべきはさっき蹴り飛ばしたオークくらいだろうか?


おそらくサイズ的にはオークジェネラルだと思うが‥


確かオークジェネラルの討伐ランクはBだったはず。


ガッツォさんがパーティで戦っていたなら倒せるレベルだと思うが‥


おそらくパーティ自体もBランクとは言えないレベルだったんじゃないだろうか?


でなければオークに囲まれた状況でオークジェネラルと対峙するなんて事になるわけないだろうからな‥


俺はエンチャント:穿つ者を発現させる。


「穿て!『氷槍』!」


俺は10数本の氷の槍を作り出し、オークの群れに放つ。


オークたちはなすすべなく氷の槍に貫かれる。

そして地面に刺さった槍は、その場で地面を凍らせて近くにいたオークたちを氷漬けにする。


同じ魔法を3度繰り返すと、村の中央を囲んでいたオークたちの数がかなり少なくなった。


「いやぁ、やっぱりマルコイさんの力はえげつないですね‥」


ラケッツさんが呆れながらそう呟いている。


馬鹿を言いなさい、まだまだこれからですよ。


すると先程蹴り飛ばしたオークジェネラルが怒りの表情で戻ってきた。


なんだ?

仲間を倒されて怒ってるのか?


馬鹿を言え、こっちもハゲの勇‥間違えた『スキンヘッドの勇者』を負傷させられて頭にきてんだぞ。


オークジェネラルは手に持つ大きな剣を俺に向かって振り下ろしてきた。


こんなでっかい剣をどうしたんだろ?

冒険者から奪ったのかな?

自分たちで作れるとは思えないけど‥


俺はエンチャント:勇敢なる者を発現して、『スペース』から取り出したダマスカス剣でオークの振り下ろした剣を防ぐ。


自分の力に自信があったんだろう。

自分より遥かに小さな俺が受け止めるとは思っていなかったようだ。


「何驚いてんだ?このくらいの膂力なら大した事ないぞ。もっと強いやつはいくらでもいるからな。」


例えばミミウさんとか、ミミウさんとか‥



俺はオークジェネラルの剣を弾き返す。


オークジェネラルたたらを踏むように後退する。


どうするかな‥?


倒すのは簡単だけど、実験のためにラケッツさんか卓に倒させるべきか‥


ガッツォさんが助かったのを見て、俺も少し落ち着いたからな。


その時、村中に人のものではない大きな雄叫びが聞こえた。


なんだ?


その声を聞いた途端、俺の事を睨みつけていたオークジェネラルの顔に恐怖の表情が浮かぶ。


「ガ、ガァッ!」


恐怖の表情のまま、オークジェネラルが俺に突っ込んできた。


オークジェネラルは持っている剣を力に任せて何度も振り下ろしてくる。


先程までの強者の余裕のような攻撃ではなく、何かに追い詰められたようなそんな攻撃だ。


俺は全ての攻撃を剣で受け止める。

そして大きく振りかぶった攻撃を受け流し、体勢が崩れたオークジェネラルの腹に剣を突き刺す。


剣を横に振り払うと、オークジェネラルの身体はそのまま沈み込んだ。


「ラケッツさん、さっきの雄叫び何だと思う?」


「オークジェネラルの怯えようから、もっと別の上位種がいるんじゃないですかね?」


「別の上位種ね‥だとしてもオークジェネラルがあんなに怯えてたんだぞ。オークキングだったとしても、そこまで怯えるもんかね?」


村の奥の方から唸り声が聞こえてきた。


唸り声の持ち主はその場で立ち上がる。


先程のオークジェネラルもかなり大きかったが、今度のオークはオークジェネラルよりも更に大きい。


前戦ったオークキングよりも大きいようだ。


俺は【技能眼】を馬鹿でかいオークに使用してみる。


そう言えば【技能眼】をモンスターに使うのは初めてだな‥

ちゃんと見れるといいけど‥



オークエンペラー

スキル【腕力強化】

腕力を2〜3倍に引き上げる。


スキル【同種支配】

同種族を支配する。生死の管理も可能。


スキル【絶対殴打】

物理的な防御力や魔法、スキルによる防御を無視してダメージを与える。



オークエンペラーか。

どうりでオークキングよりも大きいはずだ。


確かエンペラー種ってのは災害指定のモンスターじゃなかったか?

アキーエ先生がいればもっと詳しい情報がわかったはずだけど‥


オークの中でも最上種になるモンスターなんだろう。


おそらくオークジェネラルが怯えてたのは、スキル【同種支配】だろうか?


生死の管理もできるってことは、死ぬってわかっている行動も取らせる事ができるって事だろうか?


それこそ勝てないとわかっている相手に突っ込ませたり、自殺の強要もできるんじゃないか?


しかし【技能眼】で相手のスキルを見る事ができるが、モンスター相手だと会話ができないから模倣する事ができないよな‥


見た事ないようなスキルばかり持っているのに勿体無い。


そんな事を考えていると、間近までオークエンペラーがやってきた。


「グガァァァァ!」


「うっ‥な、なんだ?」


オークエンペラーの雄叫びでガッツォさんが目を覚ました。


あ、そうだ!

いい事思いついた!







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