第450話
「しくしくしく‥」
「えっと‥スネタさん?」
「え?なんですかマルコイさん。結婚してくれるんですか?」
「しません。そうじゃなくて、スキルを教えてください。」
「はっきりと言われた‥およよよ‥」
この人本当に団長なのか‥?
「すまんなマルコイ。普段はしっかりしてるんだが、結婚になるとな。」
う〜ん‥
リュストゥングとか紹介した方がいいのだろうか‥
「はい。それで私のスキルですよね。私のスキルは【硬質化】になります。」
立ち直りはやっ!
いや立ち直りと言うか、なかった事にしてない?
「は、はあ。それってどんなスキルですか?」
するとスネタさんは懐からギルドカードを出す。
「あれ?スネタさんは傭兵なのに冒険者ギルドのギルドカードを持ってるんですか?」
「はい。父が『ガルベスト』を作ったんですが、跡を継ぐなら冒険者でしばらく活動しろと。」
スネタ
冒険者ランク:A
スキル【硬質化Lv.7】
なるほど。
しかし少しの間活動してAランクか。
とんでもないな。
「それで【硬質化】ってのは?」
「そうですね。見てもらった方が早いかもしれないですね。」
そう言って、スネタさんは俺が座っているソファーに手を添える。
「【硬質化】」
すると俺が座っていたソファーが固くなる。
今まで深く座っていたが、そのままの状態で固くなった。
俺は立ち上がりソファーを確認する。
ソファーは俺が立ち上がった部分を押し返す事なく、俺が座っていたままになっている。
しかし別の場所を押してもへこむ事はない。
う〜ん。
俺の尻拓だな。
スネタさんがソファーにもう一度触ると、ソファーはゆっくりと元の状態に戻った。
「これが私のスキル【硬質化】です。魔道具の参考になりました?」
「これってどの程度の硬さなんですか?あと触るまで戻らないんですか?」
「硬さはレベルが上がれば、より硬くなります。でもその硬さは選べませんね。レベル通りの硬さになります。あと時間ですが、これもレベルによって違います。今のレベルだと最長で30分くらいでしょうか。もちろんさっき見ていただいたように途中で解除する事もできます。」
ほほー。
こりゃまた珍しいスキルだな。
でもスキルを使うと、壊れない槌にする事が可能だな。
「身に着けている物の【硬質化】も出来るんですよね?」
「もちろんです。鎧なんかも【硬質化】できますよ。」
なるほど。
(ピコーンッ)
『模倣スキルを発現しました。スキル【硬質化】を模倣しました。』
これでだいたいスネタさんに渡す魔道具のイメージが固まったな。
あ、模倣ありがとうございます。
「ありがとうございます。これで魔道具のイメージができました。スネタさんや『ガルベスト』に渡す魔道具は今から作りますから、少し時間がかかります。帝国と神聖国の戦争は程なく始まると思いますけど、モンスターの氾濫は現時点で兆しなので、もう少し時間に余裕があると思います。ただ魔道具を渡すのはもしかしたら神聖国についてからになるかもしれません。なので戦いの準備をしてもらい、『アウローラ』と合流して神聖国を目指してもらっていいですか?」
「おう!任せろマルコイ。俺の『火輪の神槍』でモンスターなんぞあっという間に殲滅してやるぜ。」
ん?
それは俺のどっかん投げて君の事かい?
あれ、投げてドッカン君だったっけ?
まあいい。
予想外の事が起こりはしたけど、これでより多くの実験をする事ができるようになったぞ。
『ガルベスト』には木偶爆弾はもちろん渡すとして、後は何を渡そうか‥
それにスネタさんに渡す魔道具がなぁ。
とりあえずイメージはできたけど、追加で他の魔道具も作ろうかな?
『アウローラ』と『ガルベスト』がアースンに来るまでの間に出来るだけ作っておかないと。
忙しくなるぞ。
「マルコイ‥顔が満面の笑みになってるぞ。」
「そんな顔も素敵です!」
俺は慌てて『ガルベスト』の拠点を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます