第174話

「なにっ!」


水巨人の腕が斬り飛ばされた事に驚くロメント。


俺はその場を離れ、水竜からの攻撃に備える。


水竜は俺の速さについて来れずに攻撃できないでいた。



俺の動きについて来れるのはロメントと水巨人。

水竜に関しては俺のスピードについて来れていない。

しかしロメントと足を止めて斬り合うと水竜からの攻撃を喰らうだろう。


ロメントたちの様子を見ると、水巨人の腕が斬られた事に警戒してかその場に留まっている。

精霊だからだろう水巨人の腕はすでに元に戻っていた。


一気に押し切らないと勝てないか‥

しかし水竜を警戒しながらとなるとかなり難しいな。

俺の今の防御力で水竜の攻撃に耐えられるかとなると‥

防御体勢をとっていれば可能だろうが、無防備で受けるとダメージを受けるだろう。

しかし水竜の攻撃を対処しながらとなると水巨人が回復してしまう。


水竜が此方に向かって迫ってきた。

水蛇のように真っ二つに斬ってしまえば消えるはずだから水竜を先に相手すればいいか?


水竜の攻撃を避け、隙ができたところを斬りつけようとするとロメントが細剣で攻撃に転じてきた。


「くっ!」


俺はロメント剣を躱し後ろに下がり距離をとる。

やはり簡単にはいかないものだな。



それならば‥



俺は水巨人に全身を低くして前に出る力を溜める。


爆発的な推進力を得るために、ギリギリまで全身のバネを極限まで縮める。




溜めた力を瞬間的に放つ!




『紫電剣閃!』



爆発的なスピードで水巨人の横をかける。

そして前に進む力を無理矢理止める。

脚に痛みが走る。

筋肉が断裂したのか、それとも骨が折れたのか‥

しかし活性化している今の状態ならば痛みもさほど感じない。


水巨人は俺の方を振り向く。

しかし上半身のみがこちらを向いており下半身は動いていない‥

そのまま上半身と下半身がズレるように動いたと思ったらその場で弾け水の飛沫となった。


俺の速さと力を瞬間的に高めた攻撃力が水巨人の防御力を上回った。

水巨人が斬られた事に戸惑っているロメントに向かい足の痛みを無視して駆け出す。


かなりの体積だった水巨人が飛沫になった事で俺とロメントを覆い隠すほどの水の霧となっている。


ロメントの前に立ち腰の位置に剣を構える。


ロメントが細剣で突きを放つと同時に水竜が此方に向かい突進してくる。


『予測変換』


細剣を躱し、水竜の攻撃を半歩下がって避ける。

攻撃を躱した隙に腰だめにしていた剣を放つ。


上段の打ち下ろしから始まり、下段からの斬り上げ、そして横に斬り払う。

そして剣は止まる事なく次の動作に移る。

全ての動作を予め決めていた事により、淀みなく次の動作を行う事ができる。

剣を弾かれたとしても次にとる動作は決めている。

それに俺のスピードと力、ダマスカス剣の強度を易々と弾く事はできない。



『斬速乱剣!』



20を超える俺の斬撃が水竜とロメントを斬った。

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