第175話

俺の剣技は水竜とロメントを斬り裂いた。


水竜はその場で飛沫と変わり、ロメントは膝をついた。

水竜の後ろにいた分、致命傷まで受ける事はなかったのだろう。


そして俺も無事ではない。

腕の筋肉がダメージを受けたせいだろう。

剣を持っていた方の腕が上がらない。

剣技として頭の中で描いていた技でずっと練習はしていて、技としては完成したものと思っていたがエンチャント:雷を使用した状態で練習した事はなかったからな。


ロメントは致命傷ではないといえ、軽くない怪我を負っている。


とはいえまだ続けるのであればエンチャントが切れて、手と足が動かないような状態で相手するような事になってしまうが‥


ロメントが動かないので運営側の人が確認を行なっている。


腕を交差しているところを見ると気絶しているのか?


運営側の人が此方に寄ってきて俺の腕を上げる。

よかった痛くない方の腕で。

もし痛い方だったらハタいてたかもしれん。


「この試合の勝者はBランク冒険者マルコイ!」


そして俺は勝ち名乗りを受けた。


一切の音がなく、全員が見守っていた会場が一斉に大きな歓声が上がる。


よほど興奮しているのか、お金を投げ入れたりする人もいるようだ。


俺はその場で動く方の腕を使い観客に手を振った。








ロメントはそのまま救護場へ運ばれていった。


俺はエンチャント:水で回復しているのだが、すぐに動けるような状態ではない。

どうしようかと迷っているとアキーエとミミウが側にやってきた。


「動けないんでしょ。全く無理し過ぎよ。」


「ほんとですぅ。見ていてハラハラしたですぅ。」


2人は俺を両側から支えるように身体を持ってくれた。


「でもお疲れ様。カッコよかったわよ。」


「さすがマルコイさんだったですぅ!」


女の子2人に支えられて会場から降りるのは、少しカッコ悪いかなと思っていたが俺はその言葉で嬉しくなりそのまま降りる事にした。


アキーエが救護場に行くか聞いてきたが、エンチャント:水を使い続けたことで自分で歩ける程度には回復したので場外で少し休むだけにした。

ロメントが救護場で目覚めてて会うのを避けたかったのもある‥


約束の件もあるか会うのは会うが、できれば今は会いたくない‥

まだ勝った余韻に浸っておきたい。

アイツに会ってまた変態な事を聞いてテンション下げたくないからな。


そのまま座っているとキリーエが観客席から降りてきた。


「マルコイさん!めっちゃカッコよかったよ。」


「おう。ありがとう。」


「ほんとすごかった。でもこれでマルコイさんもめっちゃ有名になったやん。これは看板にしてお店開かなあかんね!」


「なっ!」


なんだと?

俺にまであの恥ずかしい真似をしろと?


「あ!それはいいわね。Sランク冒険者に勝ったマルコイがやってる店なんて言ったら、お客さんすごい来そうだもの。」


アキーエまで一緒になって‥


「何のお店にするですか?できれば美味しい物がいいですぅ!」


まあミミウはそうだろうな‥


そんな話をしていると、近づいてくる人影があった。


この国の王様のようだ‥

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