第691話

ハーフェルの元に残りの魔族が集まってきた。


全部で6人か‥


ロメントを連れてきた魔族の男は見当たらないな‥


「シームーはどこにいるの?」


「申し訳ありませんハーフェル様。シームー様はこの近くにいらっしゃらないようです。」


「そんなはずは‥ちっ、まあいいわ。全員聞きなさい。向こうも何人か集まってきたみたいだけど、狙うは黒装束の男よ。何としてもあの男は殺しなさい。それとあの魔道具を装着している男にも気をつけなさい。」


「はっ!」


こっちは俺とラケッツさん、スネタさんにエルエス兄さんとスキャンか。



俺が早めに1人倒して、後は魔力を温存しながら他の人を支援すればなんとか‥


「俺が一番乗りだっ!ひゃっはー!」


スキャンさんがいきなり飛び出した。


「ずるいぞ!それじゃあ次は俺だっ!」


ラケッツさんも飛び出した。



何なの君たちは‥?


魔道具を装着すると人が変わるのが2人もいると収集がつかないぞ‥


ラケッツさんは相変わらずのフル装備だが、スキャンさんも負けていない。

装着できる装備は全て乗っけてるからな。


肩には小型だが木偶爆弾を発射できるようにしているし、杭型の打撃機も装着している。

背中を守るためにライリーも背中に背負ってるからな‥‥


あ、ライリーがいた。


スキャンが乗るゴーレムと一緒に行動しやすいように背中に捕まって乗るスペースを作っていたけど、あまりにも普通に乗ってたから気づかなかった‥


スキャンの大振りの攻撃を躱した魔族に対して、その攻撃の隙を補うようにライリーが短剣を投げている。


やるなぁ‥


スネタさんとエルエス兄さんもコンビで1体の魔族と戦っている。


そしてラケッツさんが1体魔族に飛びかかっていったから、残るは3体か‥


とりあえず早めに1体倒しておきたい。


「ふん。ハーフェル様が集合かけるから何事かと思いましたよ‥こいつを倒せばいいんですね?勇者ならまだしも、ただの他種族をそこまで警戒する必要があるとは思えませんがね。」


よし。

案の定油断してくれているな。

魔族は種族的に有利と思っているからな。

危機感が足りてないと思うぞ。


俺は『スペース』から光剣を取り出す。

ちゃんと勇者の魔道具があるから戦えましたよってのをアピールしとかないとな。


俺はエンチャント:勇敢なる者を発動して、光剣に魔力を流す。


「そいつから目を離すな!その人族は勇者より危険だ!何としてもその男を殺すのよっ!」


「そんな‥たかが人族にそれ程‥」


俺は魔族の元に一挙動で進み光剣を振り下ろす。


光剣は俺の魔力に反応して眩しいほどの光を放っている。


「ぐはっ!」


光剣はハーフェルと話をしていた魔族の肩口から胸元まで斬り裂く。


「ぐっ!き、貴様ふざけ‥な、なんだ?傷口が溶けていく?く、くそ何故だ!?」


おや?

光剣を喰らうのは初めてですか?

まだ光剣隊と戦ってなかった魔族もいたのね。


俺の女神様の策略で魔力増し増しになってるから、光剣に流れる魔力もかなりのものだ。


ハーフェルやビアルポと呼ばれた魔族はかなり魔力が高そうだが、それ以外の魔族なら致命傷はそのまま致命傷になる。


光属性を使えばお前たち魔族を剣で倒す事が出来るんだよ。


「があっ!ハ、ハーフェルさ、ま‥」


俺が斬った魔族は絶命した。


あとはハーフェルとビアルポだが、この2人はそう簡単にいかなそうだな。


「なるほど‥確かにこいつは危険すぎる。」


ビアルポが俺を見ながらそう呟く。


「わかったようね。ビアルポ、刺し違えてもこいつを殺すわよ。」


「シームー様がいれば何とかなったかもしれませんが‥2人では厳しいやもしれません。」


「2人じゃないわ、他の魔族も‥」


ハーフェルは周りを見るが、ラケッツさんたちのせいで他の魔族が加勢に来れない事を悟ったようだ。


「全く忌々しい!」


「確かに。このままでは負けてしまうかもしれません。しかしハーフェル様は魔王様にとってまだ必要な方。申し訳ありません。」


そう言ってビアルポはハーフェルを掴む。


ん?

何をする気だ?

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