第153話
キリーエが慰労会で今回用意してくれたのは真新しいお店だった。
「へぇ、今日はまた違った店なんだな。知り合いの店か何かか?」
するとキリーエはニンマリと笑い
「ようこそ!酒処アキーエへ!」
へ?
あ、ここの看板にもアキーエがいる。
なるほど、飯処に続きお酒がメインの酒処なのね。
しかし何々処についてはアキーエで行く感じなんだな。
当のアキーエはよほど恥ずかしいのか地面に座り込んでるんだが‥
そんなに恥ずかいなら辞めときゃいいのに‥
「アキーエちゃん。今回の看板も最高のできや。ほらマルコイさんもめっちゃ見よるで。これでアキーエちゃんはまた有名になるから、マルコイさんはアキーエちゃんの事をもっと真剣に見るようになると思うよ。」
何か2人してコソコソ話ししてるな。
「それじゃ中にどうぞ〜!」
キリーエについて行くと、中は黒を基調とした落ち着いた雰囲気の空間になっていた。
「ここもいくつか個室を作ってるから、今日はそのうちの一つを使うように手配しとるよ。」
個室も黒を基調としていて、こっちは何故か落ち着いた雰囲気と言うか何か密談とかに向いてそうな感じがする‥
「ご飯はミミウちゃんが満足するくらい出すけど、お酒何かは飲みたいの注文して。スキルである程度日数かかるやつも作れてるけど、年単位で日数がかかる物とかはできてなかったりするんよ。でもビールやリキュールとかは大丈夫やから、何でも頼んでいいから。」
闘技会の中休みは数日ある。
今日くらい羽目を外してもいいだろう。
「それじゃビールを貰おうかな。」
「わたしは甘いお酒を。」
「私も甘いお酒がいいですぅ!」
キリーエは聞いた内容を店員の人に伝える。
「あ、私も辛めのお酒をお願いね。」
そして慰労会は遅くまで続くのだっ‥
「ほう!ここはとてもいいお店だね。僕の為にあるようなお店だよ!この街にいる間はここに通わせてもらうよ!」
何かデカい声の人がいる。
嫌な予感がして店の中をコソッと覗いてみると‥
ヤバい変態がいた。
こんな所に変態がいる事に驚き見入ってしまった為に見つかってしまった。
「おや?君は僕のファンの子じゃないか!こんな所で会うなんて運命だね!」
うん。
やっぱりコイツはダメなやつだ。
倒さなければ‥
変態に闘いを挑む前に店員さんを呼んでお願いをする。
すると店員さんはキリーエと話をした後に奥に戻っていった。
そしてロメントに闘いを挑む。
「ロメントさん今日の闘い見させてもらいました。やはり流石Sランク冒険者ですね。」
「そうかい!君も見てくれていたんだね。どうだい今日は運命について僕とベッドの中で語り合わないかい?」
逃げ出したいが、ここでトドメを刺しておかなければ‥
「俺は仲間の彼女たちに怒られますし、貴方も一緒に来ている女性の方たちに悪いですよ。だから今日お会いできた記念に一杯奢らせてください。」
そう言って俺は店員さんから2つのグラスを受け取る。
そしてあまり匂いがしない方のグラスをロメントに渡す。
「このお酒は俺のお気に入りのお酒です。一気に飲むのがおすすめですから、どうぞ一気に飲まれてください。」
そう言って俺は甘いレモン水とリカーを割った酒を一気に煽る。
そして目でロメントにも飲むように促す‥
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