第154話

「ありがとう。ファンからの贈り物だ。残さず頂かせてもらうよ。」


そう言ってロメントは渡したグラスに入っている液体を一気に飲んだ。


ふっふっふ。


バカめ、俺が飲んでいるのはリカーをレモン水で割った物で、お前が今飲んだのはリカーを薄めていない原液だ。

アルコール度数90%を超える逸材だぞ。


潔くあの世へ行くが良い。


「ふぐっ!」


ふふふ‥

どうだ。

そのまま酔っ払って潰れてしまうがいい。


「んぐんぐんぐ‥」


な!

なんて奴だ。

飲みきりやがった‥



「ふふ。あ、ありがとう。僕の事を思っている愛情を感じたよ。それじゃあ僕は明日も早いからこのべんで帰らせておらうよ。」


ロメントはふらふらしながらも自分の足で歩いて帰っている。


そしてこちらを振り向いてウィンクして店の外に出て行った‥


ロメントが出た後すぐに外で何かがぶつかるような大きな音がして「ロメント!」と言っている女性の声が聞こえていたから、盛大に転んだのだろう‥


しかしなかなか凄まじい男だった。

ファンの為とか言っていたが、見栄のためにあそこまで出来るとは‥

少しだけロメントの評価を変える必要があるな。


そう‥

最強の変態だと。






そんな変な来客もあったが、みんなで食事やお酒を楽しんだ。


ミミウはお酒が弱かったようで、一杯飲んだだけで寝てしまっている。

いや、あれは寝てるんだろうか?

目は瞑ってるし、鼻ちょうちんもできている。

しかし口には食事を運んでいる‥

寝ながらでも食事をとれるなんて、ミミウもすごい特技に目覚めたものだ。


キリーエは姿は幼いけど、大人の女性っぽくお酒を嗜んでいるって感じだな。



意外だったのがアキーエだ。

彼女はザルだった。

最初は可愛く「これ美味しいわね。」なんて言っていたが、途中からお酒をがぶ飲みしていた。


あんまり飲みすぎてロバットさんみたいに変な人にならないといいけど。





落ち着いたところで、少し飲みすぎたので夜の風に当たりに外に出てみる。



外には何かを引き摺られた跡がある‥


あ、最強の変態が引き摺られた跡か。





しかし俺自身かなり強くなったつもりでいたが、まだまだ強者はいるもんだな。


ロメントもそうだが、あのリュストゥングはまだ届かないような気がする‥


強くなったと思えばもっと強いやつと遭遇する。

まるで女神様が俺にもっと強くなれと言ってるみたいだな。


もし女神様が俺なんかに何か期待しているのならば、今よりもっと強くならないといけないなんて相手はどんな化け物なんだって話なんだが‥


発現したスキルに振り回されるつもりはない。

しかしここまでご褒美をくれるのならば、少しは女神様の言う事を聞いていいのかもしれないな。


もし本当に期待しているのならだけど。


はは。

酔ってるな女神様が俺なんかに期待するはずないか。


少し酔いがまわったみたいだ。

みんなを起こして宿に戻るとするか。




マルコイがみんなを起こす為に宿に戻った後、まるでマルコイの問いに応えるように夜空の星が一つ流れた‥

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る