第155話
闘技会本戦の第二回戦の日となった。
宿から出て会場まで歩く。
会場に着くまで対戦相手はわからない。
できれば自分の思っているような対戦カードになればいいのだけど。
会場に着き目にした対戦表を確認し、残念ながらなかなか思惑通りには事は運ばないものなのだなと実感する。
一回戦の勝ち残りが8名。
対戦表には
1試合目 リュストゥング対アキーエ
2試合目 ライアス対シュッツガウト
3試合目 ミミウ対ガルヘア
4試合目 ロメント対マルコイ
と表記されていた。
アキーエと俺は相手がSランク冒険者でミミウの相手はガルヘアか‥
Sランクはいずれはあたると思っていたからいいんだが、ガルヘアとあたるミミウが心配だな。
「アキーエもミミウも魔道具が壊れたらなるべく降参してくれ。俺のわがままなのはわかってるけど、できればパーティメンバーには怪我をしてほしくないんだ。」
模倣スキルが役にたたない時からずっと力になってくれたアキーエ。
俺とアキーエに村から一緒について来てくれたミミウ。
俺のやりたい事を支えてくれたキリーエ。
みんな大切な仲間たちだ。
誰も失いたくない。
ただの試合だということはわかっている。
だがもしもなんて事があって欲しくない。
「わかってるわよ。そんな心配しなくて大丈夫よ。」
「ちゃんとマルコイさんとの約束守るですぅ。」
よかった。
自分が傷つくのはしょうがないけど、仲間は嫌だ。
わがままだって事はわかっている。
「わたしたちはちゃんと魔道具装備してるからいいけど、どうせマルコイはしてないんでしょ?わたしたちよりもマルコイの方が心配よ。いくらスキルがあるからって無理しちゃだめよ。」
「わかってる。俺もあんまり無理しないようにするよ。」
「まったく。そのあんまりってのが期待できないのよね。マルコイがわたしたちを心配してるのと同じでわたしたちもマルコイを心配してるんだからね。」
そうだな。
アキーエの言う通りだ。
俺もあんまり無茶はしないようにしよう。
「開催時間となりました。これから闘技会第二戦目を始めます。選手は闘技場付近に集まってください。」
できればみんなで準決勝まで勝ち上がりたいところだが‥
悔いの残らないように全力をもって望むとしよう。
「それでは闘技会第二戦一試合目。リュストゥングとアキーエは場内に上がってください。」
さっそくアキーエの出番だ。
相手はSランク冒険者で大会の優勝候補だ。
「それじゃ行ってくるわね。」
まるで散歩にでも行くような気楽さで場内に向かうアキーエ。
「アキーエ。Sランクぶっ飛ばしてこい!」
アキーエに声をかける。
「任せときなさい。先に勝ち上がってまってるわよ。」
アキーエは気負いもなく場内に入って行った。
「それでは闘技会二戦目第一試合。Sランク冒険者リュストゥングとBランク冒険者アキーエの試合を始める。」
「準備はいいか?それでは始めっ!」
アキーエのSランクとの闘いが始まった。
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