第156話

マルコイにああ言ったもののやっぱり緊張する。


相手はSランク今までの相手の比ではないだろう。


とは言ってもやる事は同じ

自分の持っている力を相手に全力でぶつけるだけだわ。


対戦相手のリュストゥングを見る。

今まで相手とは別格の雰囲気を持っている。


「始めっ!」


開始の合図がかかった。


ひとまず遠距離から魔法を試す。


わたしの一試合目を見ておらず遠距離からの攻撃がないと思っているのか、それとも余裕からなのか相手は動かない。


だったら様子見ではあるがかなり魔力を込めて放ってやる。


「弾けよ!灼熱の炎矛!」


数秒魔力を込めた後、直線上に放射する魔法を放つ。


「『着・魔防鎧』」


リュストゥングがスキルを使用し、身体を覆う鎧が発現する。


わたしの魔法は直撃した。

しかしその場には何事もなく立っているリュストゥングがいた。


「ふ‥格闘家としての力もかなりのものだと思っていたが、魔法使いとしてのスキルもかなり高いな。興味深い。」


「『解・鎧』」


リュストゥングは着けていた鎧を外す。

スキルで着脱しているとはいえ、鎧が消えていく様子は不思議ね。


「魔法で俺にダメージを与えたいなら局所殲滅魔法でも使わなければ意味がないぞ。」


そんなもの今のわたしのスキルで使えやしないわよ。


まったく‥


でも魔法を使ってみていくつかわかった事もある。


まずリュストゥングはいろんな状況下に置いて、それに適した鎧を装着している。

装着するのも着脱するのもスキルによって行っている。


普通に鎧をつけるのに比べたら比にならない程のスピードで着脱している。

まるで隙がないように見えるけど、その一瞬が隙になる。


近距離での闘いに適した鎧に近距離から魔法を放ったらどうなるのか。

今使用した魔防に特化した鎧じゃなければ、ダメージは通るはず。


何かに特化した人を相手するなら、それに適した鎧を着けていればいいかもしれないけど、わたしなら手数で攻める事ができるかもしれない。


もし途中で鎧を変更しようとするなら、その瞬間に最大威力で攻撃してやるわ。


あとは‥


どんな鎧を着ていても中身は肉体だ。

外側はどんな攻撃も防ぐかもしれない。

わたしのスキルを使用した攻撃なら中身に通るかもしれない。

だから攻撃が中身に届くまで、ぶっ叩いてやるわ!




リュストゥングに向かって走り出す。

体内では気を練り上げる。


「『着・闘鎧』」


リュストゥングがさっきとは違う、少し動きやすそうな鎧を装着した。


真っ向勝負って感じかしら。


リュストゥングの懐まで入るとリュストゥングがその大きな両腕でわたしを潰そうと攻撃を仕掛けてくる。


それを力を下に逃すようにわたしの両手を使い誘導する。


リュストゥングの攻撃は地面を盛大に爆ぜさせたが、わたしには当たっていない。

でも当たったら一発で終わりそうな気がするけど。


隙だらけになった腹部に攻撃をする。

拳が鎧に弾かれるが、気を鎧の中に置いてきた。


あと何回この攻撃を避けて打ち込めばいいか分からない。


ふん。

それなら何回でも何十回でも打ち込んであげるわよ!

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