第802話

「バクスター!無事かバクスター!」


アザウア伯爵がバクスターさんに駆け寄る。


「ああ!心臓が動いてないぞ!」


「アザウア伯爵様、反対の胸です。」


「そうか!おお!よかった動いているぞ。火傷も軽傷のようだ。」


よかった、何とか生きててくれたみたい‥


火傷も軽傷みたいだけど、頭はマルコイがよくしてるアフロってやつになってるみたいね‥


でもどうしよう‥


屋敷吹っ飛ばしちゃった‥


「アザウア伯爵よかったですね、バクスターさん生きとって。」


キ、キリーエ!

そ、そんな言い方しなくても‥


「確かに‥やはり『爆殺女神』の噂は本当だったんだな。それにかなり手加減してもらったのだろう‥まさかバクスターが生きているとは思わなかっと た。」


えっと虫の息だし、ピクピクしてるし、頭アフロになってるけどいいのかしら‥?


するとバクスターさんが意識を取り戻した。


「‥‥え?お、俺生きてる?生きてる!ひぃっ!」


自分が生きてる事に感動した後に、わたしを見てアザウア伯爵の後ろに隠れるように移動するバクスターさん。


そ、そんな人を化け物みたいに‥


「す、すまないアキーエさん。いや『爆殺女神』さん。見ての通りバクスターはもう闘う事は出来ない。貴方の怒りはわかるが、なんとか矛を収めてもらえないだろうか‥」


いや、収めるもなにも最初から怒ってないんですけど‥?


「いや、バクスターの『爆殺女神』さんに対する数々の無礼を考えると、八つ裂きにしても、燃やし尽くしても気が済まないのかもしれない。しかしバクスターも私を守ろうとして行った所業。何とか‥何とか温情を与えてくれぬだろうか‥」


アザウア伯爵が後ろに隠れているバクスターさんの頭を手で押さえて下げさせている。


「大丈夫ですよ。アキーエちゃんの怒りと拳はヨエクを倒すためにあるんです。そやから無駄に命を刈り取ったりしません。」


い、命を刈り取るって‥

キリーエわたし今までそんな事した事ないんだけど‥


「おお‥なんと慈悲深い‥わかりました。私は前王につく事を約束します。先程の財力と『爆殺女神』さんの武力があれば、勝率は大いにありますから。」


「おおきに。アキーエちゃんが木っ端微塵にした屋敷はホット商会で新しく作り直しときますさかい、安心してください。」


あれ?

何か話がいい方に進んでる?


わたしが壊した屋敷もお咎めなしになりそうなの?


「それでええ?アキーエちゃん?」


「え?いいも何も、わたしやり過ぎちゃったかと思ったんだけど大丈夫なの?」


「おお!『爆殺女神』さんはこの程度の被害で、しかも死人を出さずにいたのに‥慈悲の心も持ち合わせているとは、ただの破壊の神ではなく慈悲深い女神だったのですね。」


ちょっと、どんな噂が流れているのか今度本気で調べる必要があると思うんだけど。


「うちのパーティにはもう1人神様がいるんですわ。その神様が王様を助けて、ヨエクを倒すって決めてますから。『爆殺女神』もうちも全力で王様のために動かさせてもろうてます。そやから中立派をまとめて何としても王様についてくれると助かりますわ。」


「も、もう1人『爆殺女神』さんのような方がいるんですか?」


「ええ。アキーエちゃんに隠れてますけど、もっと凄いんがうちにはいるんです。本当に神様みたいな人が。いや、すでに崇められてるから、ある意味本当の神様ですけどね。」


確かに。

マルコイはタルタル神って神様に認定されてたわね。



「それじゃあ後はアザウア伯爵と共に他の中立派を仲間に引き込みましょう。アザウア伯爵がいるので問題はないと思いますが、また何かの時にはアキーエさんもキリーエさんもお願いしますね。」


どこからかイェルンさんの声が聞こえる。


あ、敷地の外にある木の後ろに隠れてる‥


この人本当にこの国の宰相なのよね‥


でもイェルンさんが言う通り、アザウア伯爵が仲間になってくれた。

後は他の中立派の人たちも仲間に入れて、マルコイたちと合流しないと。







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