第803話

「ぶえっくしゅんっ!」


むう‥


誰かが噂をしているような気がする‥


多分アキーエだな。


しょうがない、また街に『爆殺女神』の凄さを広めておくとしよう。


そうだな‥


次は夜空に浮かんでいる星を爆殺拳で砕くことが出来るってのと、辺境にある一国を隕石を落とす事で滅ぼす事ができるかもしれないって噂を流しておこう。


二つ名が有名になる事はいいことだ。




「マルコイ、ちょっといいかね?」


「はい。大丈夫ですよ。」


俺は王様に呼ばれてギルド内の応接室に行く。


本当は誰か一緒に連れていきたかったけど、嫌な未来しか見えなかったのでやめてみた。


ミミウとか絶対寝るし‥


いや、アレカンドロもリルも絶対寝るし‥




俺は王様が椅子に腰掛けたのを確認して、自分も座る。


「どうかなさいましたか?何か気になることでも?」


「いや、ヨエクの事でな‥我が国の問題であり、ヨエクの事は本来なら私が解決せねばならない問題であった。だが今となっては貴公の力がなければ対処できない程の事柄になってしまった。誠に申し訳ない。」


王様は深々と頭を下げる。


「気にしないでください。俺は冒険者です。冒険者の信条は自由です。俺は冒険者として、自分のやりたい事を矜持を持ってやっているだけです。」


王様助けたい。

ヨエクぶっ飛ばしたい。


これが希望なんですよ。


「ふふ。貴公はそう言ってくれると思っていたが‥私の王としての1番の功績は、貴公と出会えた事かもな。」


いえいえ、1番の功績は暴れん坊アキーエさんを手なづけた事です。


「以前も言ったと思うが、ヨエクも元からこのような事をする者ではなかったのだ‥我が国の将軍を何人も出している侯爵家の出身であったが、それに胡座をかく事もなく邁進しておったのだ。だが他国との戦争時に安全を確保する為に、この国の姫‥つまり私の娘を移動する任務を与えたのだ。もっとも信頼する者に任せたらしいのだが、移動時にモンスターに襲われて帰らぬ者となった。ヨエクや兵士が無事だったので気にするなと言ったのだが、大層責任を感じてな。一時は将軍をやめるとまで言っていたのだ。」


なるほど。

しかし、何故それほど国を思っていた奴があんな風になってしまったのだろうな‥


「数年は軍備に力を入れ、脱落者が出るほどの厳しい訓練をしたりしておった。しかしいつの間にか兵器作りに力を入れ出して、『ネマニの槍』や火薬筒などを開発しておった。火薬筒については実用性がりないと言っておったが、完成していたようだがな。」


「何かヨエクが変わった心当たりはないんですか?」


「そうだな‥やはり気になるのはシエブラとやらがヨエクの副官として就任したあたりだろうな‥特に目立つこともなく、これといった印象もない男であったがな。その頃からヨエクが武器の生成に力を入れ出した。おそらく武器の生成に長けた男だと思っていたが‥」


シエブラか‥


王城の中庭で会った男だったよな。


「火薬銃については予算もあり完成できなかったが、『ネマニの槍』は完成させる事ができた。だがそのもっとも核心となる物はヨエクが準備した。その時にヨエクがおかしな事を言ってな。」


「おかしな事ですか‥?」


「ああ。『ネマニの槍』についてはイェルンに聞いているな?その能力は魔族をも撃ち倒す光属性の攻撃を放つ事ができる。その主となる光属性の魔力回路をヨエクが用意した時に気になる事を言ったのだ。「この魔力回路は勇者が用意した物だ」とな。その後すぐに過去の勇者が用意した物で、それを回収したと言いなおしていたがな。その時は気にもしていなかったが、どうも引っかかってな。」


勇者が用意したもの?

正人が用意した?


そんなはずがない。

正人がこちらに来たのはそんなに昔ではない。


それに正人が魔力回路なんて作れるはずがないしな。

頭弱いし。


確かにひっかかるが‥


光属性を使える者が俺と正人以外にいるって事なのか‥?


まさかな‥








----------------------------------------------------------------------

近況にも書いてますが、ブログ始めました。

遊びに来ていただけたら嬉しいです!修正している本編や、書いている時に考えてた事などを載せてます!

https://ogicon3777.com


〇読んでくださった方へ

よろしければ、星をポチッとしていただけると、とても嬉しいです。

今後の執筆のモチベーションにもつながりますので、ぜひよろしくお願いします~!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る