第804話
「わかりました。ところで亡くなった王女はどんな娘だったのですか?」
あまり聞くべきではないとも思ったが、俺たちにとっては重要な情報かもしれないからな‥
「王女か‥そうだな、よく笑ってよく泣く子だったよ。特にお腹が空いた時に大泣きしよった。妻の母乳だけでは足らず、乳母の母乳も飲んでな。数人がかりで飲ませておったよ。それでも足らずに、国民で母乳が出る者を急遽雇い入れするくらいだった。」
うっ‥
絶対そうじゃん。
赤ちゃんの頃から大食漢だったんじゃないですか‥
「すみません、失礼な事とは思うのですが、王女が亡くなったとした理由はあるんですか?」
「そうだな‥‥まだ歩く事の出来ない子が、その場から消えていた。血の跡などはなかったが、独りでどこかに行けぬ以上亡くなったと思うのが普通であろう。」
なるほど。
それじゃあやっぱり亡くなったという明確な証拠はないって事か‥
「なぜそんなことを聞くのだ?」
「いえ、すみません気になってしまったもので。」
ここで俺から言うわけにはいかない。
やはりちゃんとミミウと話をしてからだな。
「すまないな、貴公に礼だけ言っておきたかったのだ。」
「まだ早いですよ。全て終わってからにしましょう。」
「そうだな。しかし貴公達がいれば何も問題なさそうだがな。ははは。」
そんな事ないですよ。
アキーエだったり、リルだったりを止めるのが大変ですから。
あとはミミウのご飯とか‥
すると応接室のドアが勢いよく開いた。
「マルコイさん!」
扉を開けたのはミミウだった。
「どうしたミミウ!何かあったのか?」
「‥‥‥お腹が空いたですぅ‥」
あ、なるほど。
「すみません王様。これで失礼しても?」
「ああ構わん。すまないな時間をとらせて。」
「いえ、でも次は国を取り戻して祝勝会でもあげる時に話をしましょう。」
「ははは。そうだな。すまないが宜しく頼む。」
俺は頭を下げて応接室を後にする。
「ミミウ‥ミミウはイルムさんに拾われたんだよな?」
「はいですぅ!お父さんに拾って育ててもらいました。それがどうかしたですか?」
「いや、ミミウは本当の父親に会いたいって思うか?」
「う〜ん‥会ってみたいのはあってみたいですぅ。なんでミミウを捨てたのか‥とか?聞いてみたいですぅ。でもミミウのお父さんはイルムお父さんですぅ。それに今はマルコイさんたちと一緒にいて楽しいからいいですぅ!」
そうだな。
それでも‥
もし本当に親子であるのならば、無粋かもしれないけど会わせてやりたい。
だが確証がないからな。
「そう言えばミミウって名前はイルムさんがつけたのか?」
「ミミウはですね、お父さんがミミウを拾った時に着ていた服に書いてあったって言ってたですぅ。服が血で汚れてたけど、そこだけ読めたって言ってたですぅ。」
ん?
ならミミウの名前は親からつけてもらったものなのか?
だったら王様がミミウの名前に反応しないはずないよな?
‥‥‥‥そうか。
もしかして偶然状況が似ていただけで、全く無関係なのだろうか‥
まあ特に急ぐ事でもないからな、今度王様に聞いてみよう。
今は腹ペコ大魔王を倒すのが先だ。
「マルコイさん!今日は何を作ってくれるですか?」
「そうだなぁ‥」
ん?
そう言えばスキル【創造士】でタルタルソースを作る事が出来たけど、他の料理なんかも作る事が出来るかな?
材料は『スペース』の中にある。
作った時に落ちると困るので、手のひらを上に向けてスキルを使用する。
「『創造:オムライス』」
凄い。
出来た。
今俺の手のひらにはアツアツのオムライスが乗っている。
「うあっちぃ!」
皿はなく、直接俺の手のひらにアツアツが乗ってしまった。
あまりの熱さに放り投げようかと思ったが、ミミウの手前そんな事はできない。
我慢して皿に移し替え、火傷をエンチャント:慈愛ある者で癒す。
「これは俺が後で食べるから、今からミミウの分を用意するな。」
「はいですぅ!」
しかし素晴らしいぞ、このスキル。
これさえあれば腹ペコ大魔王を倒す事ができるかもしれない!
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