第801話

上空に高く舞い上がった後にバクスターさんを確認する。


バクスターさんはこちらが飛んだ事で、間合いをとるのをやめたのか地面に座り込んでこちらを見ている。


その体勢で何をする気だろう?


バクスターさんは地面に座ったまま、両手を前に突き出して手を振っている。


魔法を放つつもりなの?


残念だけど、今からわたしが放つ技なら魔法ごと吹っ飛ばすから無駄だと思うわ。


空中で回転して、踵でバクスターさんを狙うように下降する。


「『烈波爆散脚』!」


たとえ避けたとしても指向性の衝撃波を放つ事ができるから無駄よ!


バクスターさんはさっきと同じ体勢で構えている。


よく見ると首を左右に振っているようだ。


そしてその顔には‥


あれ?


あれって泣いてないかな?




‥‥‥‥もしかして罠でもなんでもなかったりする‥?


あれ?

これってもしかして不味かったりするのかしら‥?


「ひぃっ!」


バクスターさんは身体を地面に向けて、頭を抱えながら身体を丸める。


それって防御でも何でもないわよね!?


もしかして‥‥


やっちゃった!?


まずいまずいまずい!




もう攻撃は止めれない!


身体を捻り、攻撃がバクスターさんに直撃しないようにする。


指向性の衝撃波も止められないので、別方向に向かうようにする。


「だめだめだめ!逃げてぇー!」






アキーエの叫び声とほぼ同時に攻撃が地面に着弾する。


激しい爆発と、衝撃の波が王冠のような物をその場に作り上げる。


そして衝撃の波は一部分が決壊しその方向に波が進むと、波は徐々に大きくなり、破壊を伴った全てを破砕する大きな波となった。


その波は辛うじてバクスターを避けて別の方向に向かう。


アザウア伯爵の屋敷に向けて‥‥





ギリギリだったけど、大丈夫よね?


フェナさんがスキル【結界士】で結界を張ってくれてるから、屋敷に被害が及ぶことはないわっ!


‥‥‥‥‥あれ?


そういえば結界ってわたしが殴って壊したような‥


破壊の波は何かに遮られる事なく、アザウア伯爵の屋敷に到着する。


破壊の波は屋敷を飲み込み、その全てを破壊する。


柱は粉々に砕かれ、屋根は剥がれ空に舞った。








空を見上げると、屋根とバクスターさんが空を舞っている‥


えっと‥‥


どうしようかしら‥

何て言い訳しよう‥


ま、まさかSランクに近い冒険者が戦意喪失してるなんて思わないじゃない。


手強い相手だと思って攻撃したのに、まさかこんな結果になるなんて誰も予想できなかったはずだわ。


だとしたら模擬戦を仕掛けて来たバクスターさんが悪いはず!


てな感じになったらいいんだけど‥


でもその前に証人のバクスターさんを助けないといけないわよね。


このままいくとバクスターさんがカエルのように潰れちゃうわ。


それは流石にまずいわよね。


わたしは魔力を練って魔法を発動させる。


「『炎柱竜』」


バクスターさんが落下してきそうなところに炎の柱を放つ。


「そ、そんな!トドメまで刺すのかっ!」


アザウア伯爵が失礼な事を言っている。


そんなわけないじゃない!


マルコイに聞いたんだけど、炎は周りの空気を暖めて空気の密度を小さくする事で気流が上昇するらしいのよ。


意味が全然わからなかったけど、とにかく強い炎を放つと上に向かって風が集まるって事みたいだったのよね。


狙い通りバクスターさんの落下速度が緩やかになる。


それでも少し速かったので、ギリギリまで炎柱を消さなかったから、バクスターさんが炎の中に入っちゃったけど、潰れるよりましよね‥?


バクスターさんが地面に落ちたと同時くらいに、空を舞っていたアザウア伯爵の天井も地面に落下した。


その衝撃で屋根も、残っていた物も全て粉々になってしまった。



えっと‥‥


わたしはキリーエを見る。


するとキリーエは頭を押さえて、深い溜息をついていた。


「アキーエちゃん‥‥やり過ぎやけど、まあ結果オーライや。」


ほ、ほんとに‥?







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