第569話
夜になり、ギルドの近くの酒場に来た。
アキーエたちにご飯を食べに行こうと誘われたが、バーントのおっさんと飲みに行くと言ったら、すんなりと送り出してくれた。
うん。
よくできた嫁だ。
いや、まだ全然嫁じゃないけど。
もう少し落ち着いたら‥
そんな事を考えていると後ろから声をかけられる。
「マルコイ早かったな!」
「いや、今着いたところだ。おっさんこそ早かったな。」
ちょうどバーントのおっさんと店の外で会う事ができた。
「お前と飲みに行くと言ったら、ギルマスが早く帰してくれたんだよ。」
「そうなのか?いいのか、そんなんで?」
「まあいいんじゃないのか?ギルマスはギルマスで何か考えているみたいだからな。それよりも店に入ろう。」
俺とバーントのおっさんは王都での行きつけの店に入る。
特に食べ物が美味しいわけじゃないが、お酒の種類が多くて、つまみ程度の食べ物でも十分飲む事ができるからバーントと飲みに行く時はいつもここに来ている。
席に案内してもらい、お酒を頼んだ後に酒のアテを頼む。
「つまみはっと‥いつもの干し肉と魚の干物‥‥えっといつの間にここのメニューにチキン南蛮が入ったのかな?」
メニュー内容が一新していた。
いつもの塩辛い物じゃなくて、チーズやらチキン南蛮やらが書いてある。
「ああ、割と最近かな。少し前まではチキン南蛮が新しく増えたくらいだったけど、最近は1ヶ月に一度は新しいメニューが出てるぞ。このチーズってのもそうだな。それにそのチーズを乗せたピザなんかもおすすめだぞ。」
あ、あきらかにキリーエの息がかかったようだな‥
まあ食べる側としてはいい事だとは思うんだけど‥
キリーエだけだよね?
メニュー的には普通そうだから大丈夫かな‥?
「ところでお前がセイルズに向かう時に伝えてた、神聖国がおかしいって言ってた件があったじゃないか?あれな‥神聖国の聖王が新しくなってから落ち着いたらしいぞ。何でも新しい神が降臨されたとかなんとかでな。」
「ぶっ!」
俺は思わず飲みかけのお酒を少し吹き出してしまった。
「うおっ!なんだよ急に?」
「すまんすまん。少し詳しく聞かせてもらってもいいか?」
「ん?そうだな‥なんでも新しい神の使いであるドラゴンが神聖国に乗り込んで来たらしい。それでそのドラゴンが女神ウルスエートの使いである聖王を排除したらしいぞ。新しい神はタルタル神ってやつらしいが、その神は他の宗教についても寛大だから、今のところ聖王が変わっただけで、大きな問題は起きてないみたいだけどな。」
な、なんだと‥
それだとタルタル神が女神ウルスエートに喧嘩売ったみたいになったないか?
違うんだぞ。
あいつは女神ウルスエートの名を借りて好き放題してた偽物なんだぞ。
「結果としてどうなんだ?神聖国はまともになったのか?」
「そうだな。まあドラゴンってのは眉唾もんだとは思ってるけどな。ドラゴンもモンスターだし、それが神の御使いってのもおかしな話だし。まあそれでも今の聖王は随分とできた人みたいでな。今まで前聖王が集めてきた魔道具なんかも各国に返却しているそうだ。」
うん。
グルンデルさんは約束を守ってくれているみたいだ。
一応獣人国に戻ったら、時間を見つけて聖都に行ってみるつもりだから、その時詳しく話を聞いてみよう。
「しかし1つ問題があってな‥魔王を倒すと言われている勇者が行方不明になっているらしい。現聖王は心配しなくても時が来れば魔王を倒すために勇者は動き出すみたいな事を言っているみたいだけど、今までロンギルにとって勇者は正義の象徴みたいなもんだったからな。新しい聖王がいくら心配するなって言ってもな‥魔王の動きが見え隠れしてきた今としては皆が不安になるのもわからなくもないけどよ。」
行方不明か‥
その勇者、今王都に来てるんだけど‥
どうしよ。
隠してたら問題になるかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます