第493話

いったいなんなの?


また中途半端に罠が止まったんだけど‥

止まってくれて助かったんだけど、またしても違和感が残る。


「な!あ、脚が動かぬ!」


え!

た、確かに足が動きづらくなってる!

もしかして泥水が、固まってるの!?


ほんの僅かな時間で太もも辺りから足先までが固まって動かなくなった。


どうしたらいいの?

このままではここで餓死しちゃうじゃない。


「うお〜、焦った!今度は無理と思ったぜ。マジやばかった!」


正人は歩きながらこっちに向かってくる。


「正人、あんたどうやって動けるよう‥」


なるほど。

正人の太ももから下が素足になってる。


あたしもすぐに浸かっている部分のズボンを破り足を抜き出した。


騎士団の人達もズボンを破ってグリーブから足を抜いて素足になった。


上半身鎧をつけて、膝下は素足ってかなり面白い格好になってるけど仕方ない。


地面はカチカチに固まってて、とてもじゃないけどそのままじゃ足が抜けそうになかったから。


「くそっ!なんて忌々しい罠だ!幸い地面は土だ。素足でもさほど問題ないだろう。このまま進むぞ。」


しょうがないけどそうなるわね‥





それにしても素足で外を移動するなんて小学校以来だわ。


部屋から出ると人1人通れるくらいの通路だった。


縦に並んで進んでいく。


あたし達が出てきた部屋から突然大きな音が聞こえた。


何なのいったい?

今度は何の罠が来るの‥?




「うっ!!」



突然足に激痛が走る。



正確に言うと足の小指が物凄く痛い!



周りを見ると全員が足の小指を抱え込むように座り込んでいる。


何が起こったの?


隣を見ると正人も同じ痛みに苦しんでいるようだ。


足元を見ると地面に小指に当たる程度の出っ張りが、等間隔に出ている。


そんな‥


いくら等間隔に小指を打つ場所があったとしても全員同時に当たる?


まるでピンポイントで小指を打つ突起が出てきたみたいじゃない!


なんなのよ、この悪魔のような遺跡は‥


「な、な、な、なんなのだ!神聖国の騎士をバカにしているのかっ!」


騎士団のおじさんが足の指を抱えて吠えている。


遺跡に文句言ってもしょうがないけど、そこについては同意かもしれない。


まるで人を馬鹿にして喜んでいるような感じがする。


大昔にこの遺跡を作った人は余程性格が悪かったと思うわ。



なんで異世界に来てまで、箪笥の角に小指をぶつけないといけないのよ!


しばらく休むと痛みが収まってきた。


先に進むようで、騎士団の人達は足元の確認をしている。


先程の突起部があったところから少し先に進んだので、この辺には悪魔突起はない。


しっかりと確認して前に進む。


「いで!」


やっぱり‥


正人と騎士団の人達が痛みに悶えている。




そんな気がしたのよね。


それまで何もなかったところに突起部が出現したのなら、性格の悪い作成者の事だから同じ事をしてくると思ったのよ。


残念だったわね。

あたしは正人と違って、そんな物には‥


「いたっ!」



足元をを見ると、今度は脛に土の棒が当たっていた。


よく見ると、足元の壁の一部が剥がれてまるで土の棒のようになっている。


それが勢いよくあたしの脛に当たってるみたい。


でもこれってまるで脛を狙って叩きにきたみたいに見えるんだけど‥


これもトラップだったりしないわよね?

小指トラップを避けた人だけ狙って第2のトラップが発動したとか?


まさかタンス小指トラップを抜けたら脛蹴りトラップがあるなんてどれだけ性格悪いのよっ!


さっきの部屋でグリーブさえ脱がなければ、こんな目に合わなかったのに‥


え?

ちょっと待って‥


ま、まさかさっきの部屋のトラップって足元の装備を外させるのが目的だったんじゃないでしょうね!?


‥‥もしそうなら、なんて手の込んだ悪趣味な罠なのかしら‥




もう、さっきのトラップで脛に青あざができたわ。


入り口でラケッツさんに貰ったポーションここで使っちゃおうかしら‥


本気であたしのSAN値がガリガリ削られていくんだけど‥



まだまだ先が長そうなんだけど、こんなのがずっと続くのかしら?

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