第492話

モンスターはあたしの顔を覗き込んだ後、正人のところに行って同じように顔を覗き込んだ。


そして頷くような仕草をしている。


あたしと正人を確認?した後に、次は騎士団の人達の顔を覗き込んだ。


また頷くのかと思ったら‥


モンスターの顔が大きく開いた。


そしてそのまま騎士団に噛み付いた。


顔が開いた時に口の中が見えたけど、歯はついてなかったみたいだけど‥


他の騎士団の人達が急いで助けに向かう。


あたしもすぐに助けに向かった。


「ぎっ!があぁっ!」


モンスターの顔に挟まれた人が苦しみ悶えている。


すぐに助けようと向かって行くと、モンスターは挟んでいた騎士団の人を吐き出して何事もないように別の騎士団の顔を覗き込むような動作に移った。


「き、貴様!」


覗き込まれた騎士団の人はモンスターに向かって剣を振るう。


剣はモンスターの身体の半ばまで斬りつけて、そのまま止まった。


モンスターを倒した‥




しかしそう喜んだのも束の間だった。


モンスターは身体に剣を埋めたまま動き出したのだ。


そして剣をモンスターに奪われた形となった騎士団の人は、そのままモンスターの割れた顔に頭から噛みつかれた。


「なっ!がっ!ぎがぁ!」


な、なんなのよコイツ!


あたしは手に持つランスをモンスターの身体の中央に突き刺した!


するとモンスターは力なく地面に突っ伏した‥



急いで騎士団の人に駆け寄る。


まさかこんなに早く騎士団の人がやられるなんて‥


最悪お守り代わりのポーションを使わなくちゃいけないかも‥


倒れている騎士団の人の頭を支える。


「うっ‥」


よかった生きてるみたい。


「う、俺はモンスターに食いつかれて‥」


騎士団の人は頭を振る。


あまりダメージはないのかしら?



‥‥‥。



ダメージと言っていいのかわからないけど‥


騎士団の人の頭はモンスターの顔の中で燃えていたみたい。


噛みつかれた2人の騎士団の人が‥


頭がアフロってる‥





な、なんなのよいったい。


あのモンスターは人の頭をアフロにするために出てきたの!?


意味がわからない。


意味がわからないけど‥


騎士団の2人の頭を見ていると、思わず笑ってしまいそうだ。


「ふ、ふざけよって!いったいなんなのだ、先程のモンスターは!こ、こんなふざけた攻撃をしてきよって!」


「まあまて。本来なら頭を燃やし尽くされていたのやもしれん。そこまでの火力がなかったのか、それとも燃やされる前にこちらの攻撃で阻止できたのかもしれん。」


あ、なるほど。

それもそうよね。

相手の頭をアフロにするだけの攻撃なんてモンスターがしてくるはずないもの。


「だが、ある程度の強さを持つモンスターが現れるのは確かだ。気を引き締めろ。」


騎士団の人達が頷く。


確かにその通りだけど‥



何かこの遺跡は変な感じがする。


それが何かはわからないけど‥




しばらく進むと、とびらのある部屋があった。


中に入るが、特に宝箱もなくモンスターもいなかった。


「ちっ!何もないか‥先に進むぞ。」


そう言って騎士団の人が先に進もうとすると、騎士団の人の足元で小さな音がした。


足元を見ると、床が少し窪んでいる。


すると突然、部屋の四隅から水が流れ込んできた。


いや、水じゃない?


泥水?


土が混じっているような液状のものがあっという間に部屋に満たされていく。


「く、くそ!扉があかぬ!」


出口も開かないようだ。


ちょっとこれはまずいかも‥



「あやめ!遺跡が壊れるかもしれないけど、俺の技で壁を壊すぜ!」


正人が駆け寄ってきてそう告げる。


「心配そうな顔すんなって。お前と恵は俺が元の世界に帰るまで護る!くぅ〜、俺ってかっこいい!」


そんなバカなことを言いながら、正人が技を出すために準備を始めた。


すると突然泥水が止まった‥

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