第387話

お湯から上がり出かける準備をする。


今日は戦いに行くのではなく、パーティーなので軽装だ。


装備品は『スペース』の中に入れておく。

念のため。

うちのメンバーは実は装備要らずだからな。

俺だけ戦えないとかなると困るし。


部屋から出るとみんな準備が終わり待っていてくれた。


「悪い待たせたか?」


「みんな今来たところよ。」


よかった。

お湯に浸かってきたから待たせたかと思った。


アキーエの顔を見ると何故か顔が赤い。

そして視線も明後日の方を向いている。


こいつ昨日のことを思い出したな‥

からかってやろうと思ったけど、俺も恥ずかしいのでやめとこう‥


「それじゃみんな用意はいいか?」


「あ、マルコイさん。『アウローラ』に行く前にフーラさんのとこに寄ってくれん?」


「ん?いいけど何か用事か?」


「いや、せっかくやからフーラさんに料理をその場で作ってもらおうか思って。ミミウちゃんもいるから料理は多い方がええやろ?」


確かにそうだが‥


「そんな急に言って手伝ってもらえるもんか?店の仕事もあるだろ?」


「それは昨日のうちに伝えてるから大丈夫。今日はお店お休みして手伝ってくれるって話やから。」


おおう。

相変わらずお仕事が早いですね。

行く時に出店で買って、『スペース』にぶち込んで色々持っていこうとか考えていた自分が恥ずかしいです‥


「わかった。助かるよ。ありがとうなキリーエ。」


「そんなんいいって。事の発端はうちなんやから。うちのせいでみんな危ない目に遭うたんやから。」


またそんな事を言う。


「キリーエ。前も言ったけど、俺はキリーエに被害を及ぼそうとした奴らを許せなかったんだ。だからキリーエのためにとかじゃないんだよ。だから自分のせいでとか思わないでくれ。」


俺は俺の仲間に手をだそうとした奴は絶対に許さない。

国だろうと何だろうと相手になる。


今日の夢をみてから余計にそう思ってしまったからな。

あんな思いは絶対にしたくない。


「わかった。ありがとうねみんな。そやけど、みんなの宴会準備はもともとうちの仕事やったからね。今回も趣向は違うけど、同じように準備させてもらったから今日は楽しもうね。」


「もちろんですぅ!今日はたくさん食べるですよぉ!」


ミミウさん。

君の場合は今日はって言葉は必要ありません。


そんな話をしながらフーラさんの店に向かった。

店には『本日店休日』の掲げてあった。


中に入るとフーラさんが恐ろしい程の荷物に埋もれていた。


「あっ!マルコイ神様に皆様!お待ちしてました!」


「待たせてすまない‥しかし‥荷物がすごくない?」


「何を言ってるんです!マルコイ神様とそのお仲間に腕を振るえる機会なんて奇跡みたいなもの!であれば私の持てる技量全てを出し切るつもりで準備しました!」


ま、まあ俺の『スペース』があれば持っていくのは問題ないんだけど‥


正直こんなにいるのかな?


そんな事を考えると横でじゅるりと音がする。

そうだった。

この娘がいるからこの量で問題ありませんでした。


「それにお話を受けさせていただいてから、タルタルも徹夜で作りました!タルタル切れなんて事がないくらい作りましたから、期待しておいてください!」


いや何だよタルタル切れって。


そんな言葉初めて聞いたぞ。


「わーい!やったですぅ!タルタル食べ放題ですぅ!」


そうでしたそうでした。


たんと召し上がりください。


俺たちはフーラさんの用意した材料を全て『スペース』に入れてフーラさんを連れて『アウローラ』の拠点に向かった。


拠点の前にはメンセンが待っていてくれた。


「よう!わざわざ来てもらってすまない。でも来てよかったってくらい料理も酒も用意してるから、たっぷりと楽しんでいってくれ!」


「ああ。期待してるよ。あとうちのホット商会関連の料理人を連れてきたから、料理する場所を借りてもいいか?」


「ん?クワイスに確認するけど、特に問題ないと思うぞ。でも誰を連れて‥」


メンセンの目線がフーラさんで止まる。


「ま、まさか貴方はタルタルの伝道師であるフーラさんではっ!」


いや、タルタルはもういいって‥

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