第81話

「アリア、錬金術ギルドのギルドカードって俺見た事がないんだけど見せてもらってもいいかな?」


「別にいいわよ。私も冒険者ギルドのギルドカード見た事あるけど、そんなに変わらないわよ。」


アリアはポケットから錬金術ギルドのギルドカードを取り出した。


錬金術ギルドのギルドカードは冒険者のギルドカードと違い楕円形だった。

それ以外は特に違いはなく記載されている項目も同じだった。


アリア

錬金術ランクB

スキル【錬金術士Lv.5】


ランクBってかなり高くないか?


「ランクBってかなり高いな。何か大きな実績があるとか?」


「ちょっとだけね。昔にあった薬の内容を解明しただけよ。私の祖父が持っていた材料で一度だけ作製できたけど、材料を採取する事が不可能に近いからもう作れないわ。でもそのおかげでランクも上がったし、売ったお金でお店も建てられたから御の字だけどね。」


多分かなり高価で効果が高い物を作製したんだろうな。


「ところで錬金術って見せてもらうことはできるかい?見た事がないし、もしお礼をって言うのならそれだけで構わないからさ。」


アリアは少し考える仕草をする。


「別に構わないわよ。今から錬金術で体力ポーションを作製して、それを貴方へのお礼って事でいいかしら。ね、ナーシス?」


「私は大丈夫なんですけど、マルコイさんはそれでいいんですか?」


ナーシスがそんな物でって顔をしているが、俺としてはそっちの方がありがたい。


「貴重な体験だからな。見せてくれるってなら十分過ぎるお礼になるよ。」


「わかりました。それじゃアリアお願いしてもいい?」


するとアリアは薄い胸を叩きドヤ顔を見せる。


「任せて!それじゃランクBの【錬金術士】の実力を見せてあげるわ。」


そうして俺たちはアリアが普段工房として使用している店の奥に連れて行ってもらった。


「さぁそれじゃ始めるわね。」


工房の作業台の上にはポーション作製に必要と思われる薬草やガラス瓶、それに水やらが置いてある。その前に座り薬草を水に入れ、煮沸を始めた。


「これに魔力を込めるのか?」


「そうね。この工程に30分かけるわ。それに抽出やら状態の安定化なんかで2時間はかかるわね。」


「へ?」


アリアは俺が間抜けな声を出したからか、呆れた顔をしてこちらを見上げている。


「あなたね、私がスキルレベル5だからその程度で済むけど、レベル1だと体力ポーションを作るのに6時間はかかるわよ。」


な、なるほど。

とてもじゃないが、【錬金術士】を模倣した後にポーションを大量生産ってわけにはいかないんだな‥




(ピコーンッ)


『模倣スキルが発現しました。スキル【錬金術士】を模倣しました』



うん。スキルは模倣できたけど、とりあえずはお蔵入りになるかな‥


しっかりと2時間かけて作ってもらった体力ポーションをもらいながら、マルコイはそう考えるのだった‥

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