第393話

「どうだ?これで俺が多少は強くなったのもわかっただろ?しかし驚いたのはマルコイお前の方だよ。仲間が強いのも驚いたけど、お前自身もかなり強くなったんだろ?」


「まあね。冒険者としてやっていけるくらいにはなったよ。」


「確か村にいる時はスキルの【模倣】だっけ?それが発現しないからってこの世の終わりみたいな顔してたじゃないか?まあ確かにこの世界はスキルが全てといっても過言じゃない。そのスキルが発現しなかったらそうなるのも仕方なかったとは当時は思ったもんだ。」


確かにあの頃はそうだったな。

そしてスキル【模倣】が発現してからはエルエス兄さんには会ってないしな。


「そうだな。【模倣】は発現したよ。」


俺は近くにあった肉の刺さっている木の串を掴む。


それを口に頬張り、残った木の串に対して【二重化】を発現する。


すると俺の手の中で木の串が2つになる。

そのうち一本を手に取り木に向かって投げる。


木の串はエルエス兄さんが投げた串の隣に3分の1程度刺さる。


「おお?なんだそりゃ!もしかして俺のスキルを‥」


エルエス兄さんは俺がやった事に驚きの声を上げる。


「声がでかいって。まだ一応秘密にしてるんだからさ。まあ何人かは知ってるけどね。このスキル【模倣】のおかげで俺も強くなれたわけだ。」


「そりゃ凄いな。スキルを『模倣』するスキルか。模倣しまくったら最強じゃないか。」


「そうでもないさ。模倣したスキルはレベルが上がらない。今の串は【二重化】して投げたけど、あまり大きな物は【二重化】できないと思う。それでもまあ他にもいろいろとできるからさ。おかけで強くはなれたよ。」


「なるほどな。お前もいろいろと経験したんだな。」


「まあね。」


「マルコイさん!」


その時大きな声でミミウが近づいてきた。

お?

ようやく少しはお腹が満たされたかな?


「あれ?エルエスさんがいますぅ?なんでこんなところにエルエスさんがいるんですか?」


「お、おう。ミミウちゃん久しぶり。一応だいぶ前からいたし声もかけていたんだけどね‥ようやく目に入ったか。」


「はい!久しぶりです!あっ!エルエスさんの事はいいんですけど、マルコイさん!」


あっ。

エルエス兄さんの肩が下がってる‥


まあ久しぶりの再会なのにその扱いは少し同情してしまうぞ。


「マルコイさん!ドラゴンステーキが食べたいです!」


あっ!

そういえば『スペース』に入れたまま忘れてた。


「でもこんな所でいいのか?確かにミミウが倒したドラゴンだけど、こんな所で食べたらみんな欲しがると思うぞ。」


「もちろん皆さんにもお裾分けしますぅ!美味しい物はみんなで食べた方が幸せになりますぅ!」


確かにそうだが‥


「でも少しだけとって置いてくれると嬉しいですぅ‥」


ははは。

それでこそミミウだな。


「大丈夫だ。あれだけデカいドラゴンだからな。この宴会で出したとしても半分は残るぞ。だから後でちゃんとミミウ用に調理してやるから心配するな。」


「わーい!やったですぅ!」


「おう!それじゃあ今日の分を調理しようか。」


「はいですぅ!」


俺1人だと大変だからな。

フーラさんはと‥


えっと‥

フーラさんの調理している前に長蛇の列ができてるんですけど‥


そ、そんなにタルタルは大人気なのか‥


しょうがないので1人で作るとしよう。


「あ、あのマルコイ。」


「ん?どうしたエルエス兄さん?」


「すまんがドラゴンってどういう事?本当にドラゴン倒したの?」


「ああ。ミミウが地竜でアキーエが多頭竜。そんでアレカンドロって仲間がいるんだけど、アレカンドロが氷竜を倒したかな。」


「いや、この国に3匹もドラゴンが出た事も驚きなんだけど‥それに多頭竜とかもう災害クラスじゃないか‥しかもそれを1人で倒すとか‥どうなってんのお前のパーティ?」


どうなってんのと言われてもな‥


「まあ頑張って強くなればドラゴンくらいは倒せるようになるんじゃね?」


「ならんわっ!」


ならないかぁ〜‥

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