第49話

首都での拠点とする宿を決めた後、冒険者ギルドに行く事にした。

荷物を置いてすぐに行く予定だったが、食いしん坊さんが軽くでいいので食事をとりたいとの事だったので宿付きのレストランで遅めの昼食を軽くとった。

流石に王都で2番目に大きな商会のトップが泊まる宿である。

獣人国の料理ではあるらしく、野菜や肉を煮込んだだけの料理ではあったものの素材の味が良く出ててとても美味しかった。

ミミウは軽くと言っていたが、2回ほどおかわりしていた。

いや、ミミウにとってはそのくらいが軽くなのだろうか‥

胃袋の中をちょっと見てみたい気がする‥


お腹が落ち着いたところで冒険者ギルドに向かった。

王都ではある事で入ってすぐに落ち込んでしまったが、獣人国は違うと思っている‥

いや信じている。

首都の冒険者ギルドは2階建てになっており、1階が受付や素材の買い取り、2階が資料室などになっているそうだ。

ギルドはお昼過ぎだったが、冒険者が多数おり受付にも数人の人が並んでいた。

並んでいる人の奥に受付嬢の姿が見えた。

どうやら兎人族の人のようで頭に長い耳が生えていた。

いよいよ自分たちに順番が回ってきたので受付嬢の前に立った時、デジャヴと絶望感を味わった‥

兎人族で長い耳を持った‥



マッチョおっさんだった‥



俺が持っているスキル【異世界の知識】でわかった事なのだが、異世界にもバニーガールという兎の耳を模した物を頭につける女性がいる。

そう‥世界が変われども兎人族の女性は万国共通で求められるものである。


「なんでおっさんやねんっ!」


思わず口から出てしまっていた‥


「あら〜ご挨拶ね〜。私は心は誰よりも女性よ。」


うさ耳でマッチョでおっさんでオネエだった‥

てんこ盛りだった。


力なく床に座り込み、地面を叩くマルコイを尻目にアキーエたちは受付に向かう。


「わたしたちは王都から来たCランク冒険者です。これからしばらくは首都を拠点として活動をする予定なのでよろしくお願いしますね。」


「あら?その若さでCランクなんて凄いわね〜。活躍期待してるわよん。ところで‥地面を叩くのをやめて、のの字を書き出している子はほっといていいのかしら?」


「あ、大丈夫です。いつもの発作なので。」


「わかったわ。かわいそうな子なのね‥ところで王都からきたって事だけど、ここのギルドは他と違うところは1つだけよ。他の国は冒険者同士のいざこざは禁止してると思うけど、ここでは自己責任って事になるわ。理由はあまりにも揉め事が多いから。新人には絡まないよう高ランクの冒険者が目を光らせてるみたいだけど、中堅になると誰も止めないわ。もし困った事があったら私に言ってきて。私の名前はイザベラよ。こう見えて元Aランク冒険者だから。」


胸元に付いているグレイソンという名札を見ながら頷くアキーエ。


「今日は挨拶だけなので、明日また依頼を受けにきますね。」


アキーエたちはマルコイを引き摺りながらギルドを後にした。

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