第131話

「ほう。マルコイは今度の闘技会に出るのか?闘技会は冒険者ランクB以上。それに本戦に出るとしたらランクA程度の実力がないと出れないはずだが‥」


「はい。冒険者ランクはBですが、無事に予選は通過致しましたので本戦に出場予定になっております。」


「この国にいるAランクの冒険者は名前と顔を知っているが、Bランクでも名前くらいは知っているつもりだったがな。闘技会の本戦に出る程の実力を持ったワシの知らない冒険者が居たとは。」


「私がBランクに上がったのは最近の事ですから、王様がご存知なかったのも仕方ないかと。」



「はっはっは!エッケン聞いたか?てっきりよその国から来た高ランク冒険者かと思いきや、これ程の剣を作る男がこの若さで最近冒険者ランクBになったのだと。しかも闘技会にでるという事はAランク程の実力を持っているのだぞ。随分と面白いスキルを持っているようだな。今回の闘技会は面白くなりそうだ!」


王様は猫科特有の長い剣歯を見せながら豪快に笑う。


「ところでマルコイよ。ワシはお前の事が気に入った。そこでお前の実力を少し見せてくれんか?」


やっぱりこの王様は脳筋だな‥

気に入ったから闘えってことだよな?


「王よ。闘技会も間近です。王自ら模擬戦をすれば楽しんで怪我をさせてしまう可能性もあります故、模擬戦をさせるのであれば他の者でお試しください。」


「なにっ?それではワシが楽しめんではないか!う〜む‥それなら隊長クラスを呼んでこい。そのくらいであれば見ていても楽しめるだろ?」


「はぁ〜‥待機しているものに声をかけてみます。」


なんか勝手に話が進んでるんだけど‥

無駄だと思うけど、一応聞いてみよう‥


「あの‥それって断ったりできませんよね‥?」


「はあ?お前せっかく強い奴と闘える機会なのに断るなんて、よっぽど大事な理由でもあるのか?」


冗談で言ってないよな?

実は今の言葉の裏には、暗に俺の誘いを断るなんてとか‥

いや、本気で驚いてるみたいだから本音なんだろう‥


「いえ、何にもありません。」


仕方ない諦めよう‥


「すまないなキリーエ。なんか変な事に巻き込んでしまって。」


「いや、いいんよ。ウチだけだったらどうなってたかわからんし。マルコイさんほんとありがとな。」


確かにエッケンとの話ならキリーエだけで大丈夫だったと思うけど、脳筋王様との話になるとキリーエだと困った事になったかもな。

王様に悪気はないにしろこっちに不利な条件にされてたかも知れないし。


「お呼ばれになったとの事で、ただいま騎士団3番隊隊長ガッハルト馳せ参じました。」


多分俺の模擬戦の相手だろう。

長い金髪の美丈夫がやってきた。

年齢は20代後半くらいだろうか?

長い金髪の中に狐の耳が見えている。


「おう。ガッハルトか。急な呼び出しに応じてご苦労だったな。」


「いえ。勿体無くございます。それで私に御用とは?」


「いや、大した用ではない。そこにいる冒険者と模擬戦をしてもらおうと思ってな。」


ガッハルトが此方を向く。

そしてすっと目を細める。


「承知致しました。」

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