第130話

「もうこの際威厳なんかどうでもいいわ!マルコイと言ったな?どうだこの剣を譲ってくれないか?金なら国庫から言う分出すぞ!」


「王よ何を言ってますか!こんなもん買おうとしたら国の経済傾きますわ!」


「それならどうする?何か交換できるような物はあったか?」


「それならミスリル製の剣はどうですか?あの国王が代わる時に使ってる剣です。」


「バカお前、あれは国宝って事になってるだろ!‥‥‥でもあれの代わりにするのもいいかもな。」








「お前が持ってる剣とワシのミスリルソードを取り替えよう!この国の宝刀だぞ?」


「すいません。お断りします。」


「な、なぜだ!全ミスリル製だぞ。お前の剣と比べても遜色ない、この国で王が代々引き継ぐ剣だぞ?」


「そんなの余計にいりません。」


「なっ!」


「もしやミスリルの塊の方がいいのでは?だとしたらインゴットを準備させましょう。」


「お断りします。」


提案自体ふざけているように思えるが、かなり本気の顔をしている‥


そんな物と交換してしまったら、使うのが畏れ多く感じてしまうぞ。


「う〜む、ダメか‥‥この美しい剣をワシの物にしたかったのだが‥どうしてもダメか?お前の望む物を可能な限り用意するぞ?」



ふむ。

王の権限で寄越せなんて事は一切言わないんだな。

無理矢理に奪おうとする気配は感じられない。

むちゃくちゃ言う王様だけど、何か好感が持てる人だ。

この剣を渡す事はできないけど、この人のために何かやりたいと思わせる。

王様に直接会って話をするのは初めてだけど、他の国の偉い人もこんな人だったら戦争とか起きない気がする。

いや、脳筋は脳筋っぽいから闘いは起きるかも‥

しかしこれはこの王様のカリスマなんだろうな。

なんだかんだ言いながら宰相のエッケンさんも楽しそうにしている。

しょうがない。

できるかわからないけど、頑張ってみるか。


まだ2人で言い合っているところに声をかける。


「わかりました。この剣をお譲りする事はできませんけど、ミスリルのインゴットを少しいただければ同じ様に作る事ができるか試してみます。ただ正直お約束はできません。もしかしたらミスリルの無駄遣いになってしまうやもしれません。」


「おお!そうか!それは構わぬ。できるまで待とうではないか。もし出来なかったとしても責めはせぬ。エッケンよ。ミスリルのインゴットを用意してくれ。」


「承知致しました。インゴットは50本くらいでいいですかね?」


いや数の暴力!


「いやいや、そんなにいりません!実際、このミスリルのダマスカス剣は少ないミスリルで剣を作るためにとった方法ですから。インゴットが3本もあれば100本程度は試せます。」


「そうか!わかった!では念のために10本渡しておこう。帰りに受け取って帰ってくれ。」


「承知致しました。ただ少し事情がありまして、できれば作製を試すのはもう少ししてからでよろしいでしょうか?」


「ふむ。それは構わぬが、何故だ?」


「不肖ながら今度の闘技会に参加する予定にしております。その大会が終わってから作製したいと思いまして。」

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