第132話
模擬戦は城の訓練場でするとの事で移動する事になった。
「マルコイさんと騎士団の隊長の模擬戦かぁ。これってお金払っても見たい人いるんと違う?」
キリーエさん、もう少し緊張感を持ちましょう。
ジト目で見てみる。
「だってどうせマルコイさんが勝つんやろ?だったら安心して見てていいやん。」
くぅ。
あとでお兄ちゃんが何か買ってやろう。
訓練場に着くと、すでに話がまわっていたのか準備が整っていた。
見学なのか何人か騎士団の隊員らしき人も見受けられる。
「得意武器はなんだ?」
ガッハルトがぶっきらぼうに聞いてくる。
「剣になります。」
ガッハルトは木剣を手に取りこちらに投げる。
「俺は冒険者の役割がよくわからんのだ。モンスターを討伐するなら騎士団がいればいい。優れたスキルを持っていて、それを活かしたいなら騎士団に入って訓練すればいい。」
ガッハルトは棍を選びながら言葉を続ける。
「Sランク冒険者などは確かに強いのだろう。しかしそれはほんの一部分の冒険者だ。あとはモンスターを倒して日々の小銭を稼ぐ。騎士団に入れば生活も安定するぞ。それなのに何故冒険者を選ぶ?答えは騎士団の厳しい訓練を耐えれないからではないか?スキルは鍛えれば鍛えるほど新たな技や能力が開花する。それを怠っているものが強いとは思えないのだがな。」
棍が決まったのだろう、ポンポンと棍の具合を確かめるように棍を手に軽く押し当てている。
「だから王が気に入ったという冒険者のお前の力を見せてくれ。冒険者でも騎士団と渡り合えるのだと冒険者の存在を疑問に思う俺に教えてもらおう。」
棍を手に持ち構えをとるガッハルト。
確かに騎士団は厳しい訓練を行い、強くなるための努力を惜しまない人たちなんだろう。
冒険者が強くなる努力を行うのは自己責任だ。
確かにその日の糧を得るためだけに闘う人もいると思う。
しかし冒険者は自由だ。
どこの国にも縛られる事なく最強を目指す。
これ以上に男前な事あるか?
そんなに知りたいなら教えてやるぞ。
冒険者だってなかなかやるって事をな。
訓練場の中央にてガッハルトとマルコイは向かい合っている。
「俺は普段は槍を使っているが、今日は棍を使わせてもらう。穂先があれば怪我をさせるからな。しかし穂先がなくてもダメージはデカい。しばらく動けなくなっても後悔するなよ。」
別に好きで模擬戦するわけじゃないんだね‥
「大丈夫ですよ。俺も結構やりますから。ガッハルトさんの疑問に答えれる程度の動きはできると思います。あとパーティメンバーの期待もありますからね。」
マルコイは剣を正眼に構える。
ガッハルトは目を細めて此方を睨みつけてくる。
「国王陛下。準備が整いました。始めても宜しいでしょうか。」
「ふむ。双方回復要員もおるから全力で闘え。面白い試合をワシに見せてくれよ。」
「面白くなるとは思えませんが、承知致しました。それでは始めさせてもらいます。」
ガッハルトは此方に向き直る。
「君は準備はいいかい?すぐに終わらせてやるから心配しなくていいけどな。」
う〜ん。
流石に舐めすぎだよな。
だんだん腹が立ってきた。
俺の力見せてやる。
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