第509話
「それで?此処で何を話すつもりだったの?」
しばらく経った後にあやめが言ってきた。
まだ少し目が赤いけど‥
「そうだな。俺としては、此処でお前たちを説得するつもりで呼んだんだ。神聖国を離れろってな。神聖国はお前たちを元の世界に戻す気がないだろうと思ってな。だから神聖国の騎士にお前たちの事を話させようと思って追い詰めたんだけど、思ってた以上の話が出てきたからな。あれを聞いた後だ。何も言わずに神聖国を出るだろうとは思ってる。」
「えっと‥それじゃあ騎士隊長をあそこまで追い詰めたのってマルコイだったのね‥」
「ああ。まああんな奴だったから、用済みだし最後は消えてもらったけどな。」
「そ、その辺はあっさりしてるのね。」
「ん?だってあんな奴生きてるだけで害にしかならんだろ。だったら他に危害を与える前にどうにかしとかないと。」
「ま、まあそうだけど‥あっ!と言う事は、あのミラーハウスもマルコイが作ったんだよね!あの悪趣味な演出も!」
「悪趣味言うな!それで、お前たちはこれから俺が渡す魔道具を持って神聖国に戻って欲しい。」
「話変えても忘れないからね‥絶対にお返ししてやるんだから。」
コイツ本当にいつまでも覚えてそうだな‥
「でもマルコイの魔道具なんて貰っていいの?どうせ神聖国の事だから碌な事に使わないと思うけど。」
「まあ神聖国に渡す分で、誰でも使えそうなやつは効果が低いやつを渡す。筋力向上とかな。それ以外にお前たちに専用の武器を渡そうと思う。光属性を持つお前らしか使えないようの物だ。」
「え?あたし達専用?」
「マジで?ちょーかっくいいじゃん。正人専用ロングソードとか?」
「お、おう。まあそんな感じだ。そんなに大した効果はつけないけど、単純に身体能力の向上に、お前たちの光属性を向上させる程度だ。本当はもっと色々つけたいところだが、お前たち以外が使うと頭がアフロになる回路を取り付けないといけなかったから、そっちにかなりの魔力回路を使ったからな。」
「ご、ごめんマルコイ。それっている?」
「何を言うか!いるに決まってるだろう!光属性を持つ者以外が使うとアフロにされてしまう。そこまでして、お前たち専用武器と言えるんだ。」
全く。
これだから素人は。
「わ、わかったわ。そ、それじゃあそれでお願いします。」
わかればよろしい。
「そしてそれらを持ち帰って、神聖国に献上しろ。お前たち専用の武器があれば、お前たちが無下にされるような事もない。そして後は4人で神聖国を脱国しろ。その後は俺たちがお前らを匿ってやるから。」
「わかった。でもあたし達だけで上手くいくかしら?」
不安そうな表情でこちらを見るあやめ。
ふふふ。
それもスキルのおかげで解決なんですよ。
「心配するな。俺もついていってやる。」
「でもマルコイが来て、顔を覚えられたりしたら後々面倒じゃない?」
「俺が行くと言っても俺自身で行く訳じゃない。お前たちも見たように俺は精巧な人形を作れる。そして俺は意識を別の物に移す事が出来る。」
「あ!そう言う事ね!」
「ん?何がそう言う事になるわけ?人形じゃすぐにバレるっしょ?」
「だから、マルコイが作った人形にマルコイが意識を移すのよ。そしたらマルコイは此処にいたまま、あたし達と一緒に来る事が出来るって事。」
ご名答。
「あ〜あ。なるっしょ。それだったらマルコイさんがまるっきり別の容姿の人形に乗り移ったら、マルコイさん自体が怪しまれる事はないって事?」
「ああ。魔道具の数を多くしてるから、荷物持ちとして雇ってくれたらいい。そしたら俺も神聖国に入る事が出来るだろう。何だったらウルスエート教に入ってもいいぞ。」
お前たちが脱国したら、人形も必要なくなるからな。
「わかったわ!そしたらすぐにでも準備しましょう!恵も心配してると思うから、早く帰って報告してやらないと!」
「ああ。そうだな。」
それじゃあ神聖国に行くとするか。
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