第513話
お互いの健闘を讃えあってみたいになってるけど、少し俺がいない間に何故恐ろしい回数のも模擬戦をしてるんですか?
確か俺、離れる前にほどほどにって言わなかったっけ‥?
「おい、アレカンドロ‥何故70回も模擬戦をしてるのかな?」
「おお!マルコイ殿!戻られましたか!模擬戦ですか?いやー、リル殿はお強いですな!これは鍛錬になりますぞ!」
アレカンドロもスキルを使えば対等に戦えるはずだし、アレカンドロのスキルは空から攻撃できる。
それはかなりのアドバンテージになると思う。
‥‥いやそうじゃない!
そんな事じゃないんだよ!
「アレカンドロ。俺はほどほどにって言わなかったっけ?」
「はい!マルコイ殿に言われましたので、ほどほどにしております!」
「ほ、ほどほどなのか‥?」
「はい!ちゃんと休憩もとってますし、朝と夕はやっておりません!」
アレカンドロの端正な顔立ちに、汗が光っている。
とても爽やかな笑顔で言われると、何も言えなくなる‥
「そ、そうか‥しかしリルもすまないな。アレカンドロに付き合ってもらって‥あれ?」
つい先程まで居たはずのリルが居なくなっている。
辺りを見回すと、家の玄関からこちらを覗き込むようにリルがこちらを見ている。
「キシャーッ!」
あれ?
間違いなく前より酷くなってるよね?
「おーよしよし。怖かったねリル。」
中からアキーエがやってきてリルをあやしている。
リルはアキーエに甘えてゴロゴロ言っている。
お前は猫か‥
「リルは疲れてないから大丈夫だ。マルコイはリルの心配いらない。」
なんかリルが幼児退行しているような気がする。
「そ、そうか。リルが大丈夫ならいいけど。」
「キシャーッ!ありがとう。」
感謝の言葉の前に威嚇するのはやめなさい。
「とりあえずアレカンドロ。今から庭の隅に窯を作るけどいいかな?」
「どうぞどうぞ!マルコイ殿の家ですから、どうにでも!」
「いや、お前の家だぞ!」
「ん?そうでしたかな?まあマルコイさんの家でもあるような物だから大丈夫ですぞ!」
そ、そんなものなのか‥?
確かアレカンドロの思い出のある家だったと思うんだけど‥
「わ、わかった。それじゃあさっそく作らせて貰おうかな。」
俺は庭の隅にスキル【スードウクリエイター】を使いピザ窯の土台を作る。
そこに土を固めてレンガを作る。
【スードウクリエイター】があれば、土に関しては何でもこいだ。
粘土類や長石、砂などを混ぜて練った物を作り出す。
そして土を乾燥させる。
これもスキルがあればすぐに出来るんだよね。
土の乾燥なんかが大変だと思っていたけど、ちょっと前にキリーエが魔法やスキルを使って作業工程を短縮していたのを見てやってみたら、なんとも簡単に出来てしまったのである。
恐るべきはスキル【スードウクリエイター】。
いや、スキル【模倣】だね。
土を真空状態になるように圧縮させる。
そして圧縮した物を更に乾燥させる。
「アキーエ!ちょっといいか?」
あとはアキーエに頼んで、レンガに焼きを入れて貰えば完成だ。
「アキーエ。ちょっとこのレンガを火魔法で焼いてもらっていいか?」
「わたし?わかったわ!ちょっと待ってて!」
抱きついていたリルを玄関に座らせて、アキーエが駆け寄ってきた。
「これ?任せて!」
アキーエが魔力を練り始める。
あ、あれ?
少し焼くくらいでいいんだけど、なんか凄い量の魔力を練ってませんか?
「ア、アキーエちょっ‥」
『炎よ!我が願いにより彼の地を灰塵とかせ!落千の煉炎!』」
アキーエの前に小さな球体が発現する。
その球体に秘められた圧縮された炎が、今にも球体から溢れ出ようと蛇のように球体の周りで踊っている。
いやいや、ちょっと待て!
こ、これはやばくないか‥?
「全員退避ーーーっ!」
目の前で特大の爆炎が上がった‥
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