第682話
イルケルさんの方は問題なさそうなので、傭兵団の方に目を向ける。
イルケルさんが啜り泣いているような音が聞こえてきたが、おそらく歓喜のあまり咽び泣いているのだろう。
なのでイルケルさんには視線を向けない。
さてと、モンスターの方は‥
傭兵団で順調に駆逐しているようだな。
ん?
モンスター以外に人型の影が見えるな‥
ついに魔族が動き出したかな‥?
アシュラ君を装備している人たちは何とか渡り合えているみたいだけど、多脚君や羽根人形を装備している人や武器のみ魔道具の人はおされているようだ。
まあスネタさんやスキャン、エルエス兄さんなんかは例外で魔族と武器やゴーレムで渡りあってるみたいだけど‥
あ、スネタさんの大槌が魔族に直撃した‥
周りのモンスターもまとめて吹っ飛んでいった。
さすがスネタさんだな。
あの人性格がまともだったら強い、綺麗でモテるんだろうけどなぁ‥
しかし吹っ飛んだ魔族はすぐに起き上がり、またスネタさんに向かって行った。
魔道具の力もあって渡り合えはしているみたいだけど、やはり通常の攻撃では倒せないからいずれは追い詰められていくだろう‥
このまま魔族の種族優位の力でゴリ押しするのが魔族の作戦だろう。
しかしね。
うちにはなんちゃって勇者隊がいるのだよ。
「魔族が出たぞ!光剣隊出ろ!」
巨大ゴーレムのデッカイに乗ってるクワイスの代わりに、エルエス兄さんが指揮をとって傭兵たちを動かす。
エルエス兄さんに指示により、同じ剣を持っている傭兵が動き出す。
「何だお前ら?剣一本で俺ら魔族に対抗するつもりか?」
うん。
やられ役のセリフありがとう。
魔族の1人が剣を持った傭兵に襲いかかる。
「光剣を発動せよ!」
エルエス兄さんの掛け声と共に魔道具に魔力を流す傭兵たち。
すると傭兵たちが持つ剣に光が灯る。
攻撃しかけてきた魔族の攻撃を光剣で防ぐ。
「ぐぬっ!な、なんだこの武器は!」
攻撃を防いだ人とは別の傭兵が魔族を攻撃する。
光剣を持っている人たちには2人1組で動いてもらうようにしてたからな。
いくら魔道具を持っているとはいえ、1人で魔族と戦う事はできない。
勇者のように魔族特化のスキルで身体能力が上がるのならいいが、光属性の剣を持っただけで強くなれるわけではない。
だから必ず2人で1人の魔族を相手するようにお願いしてる。
攻撃は魔族の肩に当たる。
「ふん!お前らの攻撃なぞ効きはせん!」
魔族はそう言って攻撃された肩を見る。
肩の傷は魔族の予想とは違い、回復せずに血を流していた。
「こんな傷すぐに‥‥な、なんでだ!き、傷が治らない!」
魔族の悲鳴に近い声が上がる。
魔族は驚き距離をとる。
今回光剣を渡した人たちは、傭兵の人たちの中でも魔力が高い人たちを選んだつもりだったけど、それでも光剣の力を発揮できてはいないようだ。
魔力の高い人が使えばもっと光剣が光属性の力を放ち、魔族も一撃で倒す事ができるかもしれない。
しかし魔力が高い人はスキルにもよるが、魔力を使った戦い方がメインになる。
よって近接戦闘は苦手とするため、その人たちに渡したとしても武器を満足に扱えない。
この辺はどうしようもない問題だな。
魔力が高く、近接戦闘を得意とする人なんて数えるほどしかいないと思う。
例えばリルとか。
だから今傭兵たちが使っている光剣に関しては、魔族に対して斬りつけたら癒えない傷を与えられるってところだ。
だけどおそらくポーションや魔法を使えば治療できると思う。
これだけ聞けば普通の剣と変わらず大した事ないように聞こえるが‥
「な、なんだお前らの剣は!お、俺を、魔族である俺を傷つけるだとっ!?」
今まで戦いで傷を負った事がない奴らが、治らない傷を負えばこうなるよな。
さてこっからは俺たちのターンだぞ。
あれ?
ずっとこっちのターンか?
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