第683話
俺は戦場に目を向ける。
とりあえず今のところは全て魔族の企みを阻止できていると思う。
トールルズの事が気になりはするが、アキーエたちがいるから何かあったら魔道具で教えてくれるだろう。
魔族も多分対勇者用の奥の手があるとは思うんだけど、勇者が誰か絞りきれてなくて出せていないんじゃないかな。
俺は対勇者用の奥の手があった時に、「ここに勇者はいないんだけどなっ!」って魔族にドヤ顔で言いたいのだが、その時がなかなか来ないのでモヤモヤしている。
光剣隊のお陰で魔族による被害は出ていないが、自力が違うので2対1でもかなり押されている。
それでも拮抗しているのはエルエス兄さんやスネタさん、スキャンの活躍によるものだろう。
本来は3対1にできるようにしたかったが、時間が足りなかった。
光剣を1本作るのに1日じゃ足りなかったのだ。
一月という時間で20数本は完成したが、魔族10数人相手では3人目に渡す事が出来なかった。
途中で一本無くなるというアクシデントもあったしな。
、
俺は剣マニアのリルあたりが怪しいと思っているけど‥
このままだとジリ貧かもしれないな。
向こうもそう思っているかもしれないけど。
被害が出る前に俺も動くとするか。
でもスキルで光属性使うと目立つので、光剣を装備する事にしよう。
加勢に行こうと動き出した時に1人の魔族が上から降りてきた。
随分と色っぽいお姉さんだな。
しかしその目は他の魔族と同じように赤く染まっている。
その魔族めがけて唸り声を上げて槍が襲いかかる。
エルエス兄さんの槍みたいだけど、思いっきりがいいな。
出てきたばかりの敵に何も台詞を言わせずに撃破しようとは‥
空気を読まない素晴らしい攻撃だ。
槍は狙い通り現れたばかりの魔族に直撃する。
そして槍は当たると同時に爆発して魔族を爆煙で包み込む。
いきなり倒しちゃったんじゃない?
直撃だったし‥
そう思っていたけど、煙の中に人影が見える。
どうやら一筋縄ではいかない相手っぽいな。
「いきなりなご挨拶ね。まあいいわ、これからよろしくねって間柄でもないしね。それにしてもいつの間に貴方達は私達と戦う術を得たの?おそらく勇者の仕業なんでしょうけど‥悪いけど勇者を出してくれないかしら?」
「ちっ!俺の槍が通じないだと?仕方ない、光剣隊4人来い!抜けた場所はアシュラ隊頼んだぞ!」
光剣隊の傭兵がアシュラ隊に魔族の相手を任せて駆け寄ってくる。
「おそらく上位魔族だ、油断するなよ。1人で相手しようとするな、必ず4人同時にかかるんだ!」
光剣隊は4方向から同時に魔族に斬りかかる。
「ふ〜ん。言う事聞いてくれないわけね。いいわ、貴方達を皆殺しにして勇者の方から出てくるようにするわ。想定外の事が起こりすぎてるから、さっさと目的の1つである勇者抹殺を実行させてもらわないとね。」
そう言うと魔族は自分の腕を左右に広げる。
光剣隊は魔族の動きに惑わされる事なく一斉に攻撃を放つ。
4方向から同時に放たれた斬撃だ。
左右に腕を広げたとしても左右からの攻撃しか防げない‥と思っていたが、光剣隊の攻撃は魔族の前に現れた壁のような物に防がれた。
あれは‥?
あやめの『堅牢』のようなものか?
そう思っていると魔族の周りにある壁が垂直から水平に動き出した。
まさか‥
「4人とも気をつけろ!攻撃が来るぞ!」
俺の声に反応して4人とも防御の体勢をとる。
すると魔族の周りにあった壁が水平になったと同時に4人に向けて広がった。
傭兵にむかって広がった壁は鋭くなり、それぞれを襲う。
4人は剣を使い防御するが、3名が剣を折られて吹き飛ばされ1人は腕ごと切り落とされた。
俺はすぐに腕を切り落とされた傭兵に近寄り、切り落とされた腕と傭兵を担ぎその場を離れる。
切れた腕をくっつけてすぐにポーションをかける。
多分これで大丈夫だろう。
「ふん。この程度で十魔の序列4位の私ハーフェルをどうにかできると思ってるの?」
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