第618話

「それでは次は‥」


「次は私でいいでしょうか。」


そう言って女性が一歩前に出てきた。


年齢は20代後半だろうか?

俺よりも少し歳上のようだ。


「私はグリセラ。騎士団で魔法隊の配属よ。」


グリセラさんもカード見せてくれる。


グリセラ

冒険者ランクB

スキル【属性魔法:霧Lv.7】


ん?

冒険者ランクが高いな。

元冒険者だった人かな?




今度は希少な属性魔法か‥


しかし属性魔法:霧‥?


「私の【属性魔法:霧】は主にサポートを中心とした魔法になるわ。」


そう言いながらグリセラは魔力を練る。


「視覚を阻害する魔法だったり、味方の能力をあげたりするわ。『出でよ霧の都!迷宮霧都』」


グリセラが魔法を放つと辺り一面に霧が発生する。


「特定の空間に霧を発生させる事ができるわ。ただこれだけだとショボい魔法なんだけどね。あとはこんな事もできるわよ。『彼の元に纏え‥霧纏鎧』」


彼女が唱えると、俺の身体に霧が纏わりついてきた。


霧は俺の表面を覆うとそのまま漂うように留まった。


「その霧は身体に纏う事で認識阻害する事ができるわ。あと、少量だけど体力を回復したり傷を治す事ができるの。地味だけど、割と万能な魔法よ。」


なるほど。

これは地味だなんてとんでもない。


認識阻害に身体的な補助ができるなんて凄い魔法じゃないか。


でも問題は、【属性魔法:霧】が【属性魔法:水】の派生スキルだったら俺が模倣する事ができないのだが‥


(ピコーンッ!)


『模倣スキルが発現しました。スキル【属性魔法:霧】を模倣しました』


よかった!

霧魔法は単独属性みたいだ。


水魔法に近いのだろうが、似て非なるものって事なのかな?


残念だが2つとも統合は出来なかったけど、凄いスキルだ。


残るあと1つはどんなスキルなんだろう。


「最後にフェルナン頼むぞ。」


「は!自分はフェルナンと言います。騎士団の第3部隊長をさせてもらっています。」


フェルナンさんはギルドカードを提示してくれた。


フェルナン

冒険者ランク:E

スキル【タイムクラブLv.6】


「自分のスキルは【タイムクラブ】になります。説明するよりも実際見てもらった方がいいと思います。エッケン様お願いします。」


エッケンさんは頷くと訓練場の外に出ていった。


しばらくして戻ってきたエッケンさんは何かが入った大きな檻を持った人たちを連れてきた。


大きな檻を訓練場に置いたら檻を持ってきた人たちはすぐに去っていった。


檻の中には大きな猪のような生き物が入っている。


どうやらブラッドボアのようだ。

猪のようなモンスターで、ランクCのモンスターだ。


スピードが速く低ランクの冒険者では手に負えないだろう。


「それではお願いします。」


フェルナンさんが剣を抜きそう言うと、エッケンさんが檻の入り口を開ける。


中に入っていた猪のような生き物は勢いよく外に出て、フェルナンさんに襲いかかった。


フェルナンさんはブラッドボアの攻撃を横に避け、側面からブラッドボアの身体を斬りつける。


体勢が崩れている事もあり、ブラッドボアには擦り傷程度しかつける事ができなかった。


ブラッドボアは目標がいなくなった事に気づき、左右を確認する。

フェルナンさんが後ろにいるのを発見して、再び突進してきた。


するとフェルナンさんは先程と同じように横に避けてブラッドボアに擦り傷を負わせる。


これではいつまでたってもブラッドボアに致命傷を与える事はできないと思うが‥


そして三度ブラッドボアはフェルナンさんに突進した。


あれ?


ブラッドボアのスピードが明らかに落ちている‥


体力が切れた?

いや、そんなに動いてはいない‥

それにブラッドボアは先程と同じような動きをしている。

ただスピードが落ちているだけで。


フェルナンさんはブラッドボアの突進を今度は余裕をもって躱す。


そして再度斬りつけた。


すると更にブラッドボアのスピードが落ちた。


なるほど。

そういう事か‥

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