第617話
とりあえず神聖国の手助けをしながら、トールルズの様子を確認する。
俺は魔道具を作り、みんなも手伝いや訓練をする事で話はまとまった。
次の日からさっそくとりかかろうと言った中、俺は今王城に来ている。
魔道具をせっせと作るべきなのだが、獣王様から俺が模倣した事のないレアなスキルがいくつか集まったとの連絡があったからだ。
なぜレアスキルに厳選しているのかというと、騎士団の人たちのスキルはやはり【双剣士】や【重剣士】など戦闘系の常時発動型が多く、俺はその元となるスキル【剣士】のようなスキルを一度模倣しているのでレアスキルしか模倣できない状態だったためだ。
だが騎士団の中にも希少なレアスキルで騎士になった人もおり、その幾つかを模倣させてもらえるとの事だった。
王城に入り、城仕えの人に獣王様がいるところまで案内してもらう。
いつもは応接室に通されるのだが、今日は城の地下に通された。
どうやらここも訓練場のようだ。
中にはエッケンさんと獣王様、そして3人の見知らぬ男女がいた。
「マルコイよ。わざわざ来てもらってすまんな。」
「いえ、俺がお願いした事ですから。それよりも彼らが?」
「ああ。獣人国の騎士団の中でも希少なスキルを持つ者達だ。きっとマルコイの役に立つだろう。」
「ありがとうございます。」
希少スキルかぁ!
どんなスキルだろうだろうか‥
エッケンさんが男女の前に立つ。
「それではお主たち。前にも言うたが、このマルコイという青年は勇者と共に魔王との戦いを進めている者である。しかし相手は魔族。さまざまなスキルを使って来る事だろう。そこでお主達のような希少なスキルを見る事で今後似通ったスキルを使う相手と出会った時に、何らかの対策になるやもしれん。そこでこのマルコイにお主達のスキルを見せてもらう事にした。」
うん。
なかなかのこじつけである。
「まずはハシント。お主のスキルを見せてやってくれ。」
「は!自分は騎士団の補給隊に所属しているハシントです。」
ハシントさんはギルドカードを見せながら名前と所属隊を言ってくれる。
これって、俺に見せるためにわざわざ冒険者ギルドに登録してくれたんだよな‥
ほんとうにありがたい事だ。
ハシント
冒険者ランク:E
スキル【ボックス】
「自分のスキル【ボックス】は生き物以外の物を持ち運ぶ事ができるスキルです。容量はこの訓練場くらいの荷物は入ります。それと中に入れた物は時間が停止します。」
ハシントさんの目の前の空間に歪みが出来る。
ハシントさんはその中に手を突っ込んで、さまざまな物を出してくれた。
なるほど‥
俺のスキル【時空魔法】の『スペース』に似たスキルだな。
メリットとしては時間停止があるところだな。
しかし問題は模倣してレベル1になった時に、果たしてどれくらいの物が入るのかが問題だな。
それと俺は『スペース』があるからいいので、パーティメンバーに譲渡する事になるだろう。
だが俺以外のメンバーが収納スキルを使えるだけでありがたい。
ミミウに渡したら‥
【ボックス】内は全て食べ物で埋まってしまうだろう‥
まあそれはそれでミミウが喜ぶと思うからいいのだが、今回はキリーエに譲渡する事にしよう。
もちろん話し合いは必要だが、ポーションや戦闘に必要な道具なんかを用意してもらうのに【ボックス】が必要になると思うからな。
パーティだけで移動するときはキリーエとアレカンドロが荷物係になってるからな。
このスキルがあれば、それが解消できるだろう。
それに俺が持っているよりも、活用してくれると思う。
うん。
これは絶対そうなる予感がする。
キリーエに【ボックス】‥
ホット商会の世界制覇が更に現実味を帯びて来るかもしれない‥
(ピコーンッ!)
『模倣スキルを発現しました。スキル【ボックス】を模倣しました』
よし‥
まずはひとり目のスキルゲットだ!
残るは2人。
一体どんなスキルを持ってるかな?
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