第216話

しばらく沈黙していたガルヘアだったが、肩の揺れが大きくなり突然顔を上げた。



「ひひひ、ひゃは!ひゃーっはっはっは!すごい!すごいな、名考察だ!しっかし残念ながら50点と言ったところだな!」


50点?

まだ何かあるのか?


「まあ例え100点だったとしてもお前には関係ないだろう!ここで死ぬお前にはな!」


おいおい。

そんな大きな声でそんな事言うなよ。

試合を止められたらどうするんだ。


「なら俺がお前を倒す事ができたら全部話してもらうぜ。」


俺がそう言うと、ガルヘアは俺を見ながら更に笑い声を上げる。


「ひゃーっはっは!そうだな!それができたら考えてやるよ!それができたらな!」


よく笑うやつだな。

こんなやつだったのか?

今までだいぶ我慢してたんじゃないか?


「聞きたいことは終わりか?じゃあ行くぞっ!」


まだあるんだが、どうせ話してはくれないだろう。


「ひゃっはー!」


人変わっとるがな。


突っ込んできたガルヘアの拳を躱す。

躱した腕に対してエンチャント:火を使用して剣を振るう。

ガルヘアの肌の硬質化がどれほどのものなのか確かめるつもりだ。


しかしガルヘアは身体を捻り剣を躱す。

身の危険を感じたのか?

それならエンチャント:火で対応できるかもしれない。

エンチャント:風を追加発動し、ガルヘアに迫る。

剣を上段から振り下ろす。

避ける事を想定し、次の攻撃を思考する。


最初の攻撃をガルヘアが‥



避けない?



俺の上段からの振り下ろしを避ける事なくガルヘアは肩で受けた。


そして俺の剣は‥


弾かれた。


確かに次の攻撃を考えていたので全力で振り下ろしたわけではない。

だとしてもそれなりに力を込めた剣を生身で弾くか?


剣が弾かれた事で体勢を崩した俺に対してガルヘアが追撃をかけて来た。


最初の攻撃を避けた事で攻撃が通ると勝手に思い込んでしまった為に弾かれるとは思っておらず動揺し反応が遅れる。


ちっ!


油断してしまった。

すぐにエンチャント:土塊を使用する。

間に合えー!


間に合った!

けど‥


「がふっ!」


ガルヘアの拳が俺の腹部へ刺さった。

肘の時よりも威力が高い!

意識が飛びそうだ。


意識を無くしてしまってはそれこそ死んでしまう‥

歯を食いしばり千切れそうな意識を辛うじて繋ぎ止めて、俺はすぐにエンチャント:土塊からエンチャント:活水に切り替える。

多分エンチャント:水の回復速度では追撃に対応できない。

エンチャント:水の上位属性であるエンチャント:活水を使用して細胞を活性化させ、無理矢理傷を負った細胞を回復させる。


攻撃された勢いで後ろに転がったが、すぐに体勢を整えて立ち上がる。


追撃しようと思っていたガルヘアは俺が普通に立ち上がったことに驚いている。


「ひひ‥なんだお前?効いてないのか?」


「そうだな。これくらいなら問題ないぞ。」


嘘です。

まだ足がガクガクしてるし、おもっきり「がふっ」とか言いました。


やっぱり強いなこいつ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る