第257話

「マ、マルコイ殿。お客様のイザベラさんがいらっしゃっております。」

アレカンドロがリュストゥングの時より緊張している感じがするな。

余程強かったのか?

イザベラさんの闘ってる姿は俺も見た事ないからな。

かといって模擬戦してみようとは思わない。

怖いもん。


「マルコイちゃんお久しぶり。あら?また一段とかっこよく‥いえ、強くなったみたいね。」


むぅ‥

少しずつイザベラさのさんの好みに近づいてきているのだろうか‥?

気をつけなければ‥


しかし確かにここしばらくでかなりの数のスキルを模倣した。

キリーエに譲渡したスキルもあるが、それでも結構な数を模倣している。

しかし俺がスキルを模倣出来ることを知らないはずのイザベラさんがわかるとは流石というか‥


「持ってる雰囲気っていったらいいかしら?それが少し変わってるわ。闘技会と時よりも。貴方のその強さには興味あるわね‥でもそれは今度プライベートで聞かせてもらうとして、今日は別の報告よ。」


そんな機会は一生来ないと思う。

しかしピンクが目に痛いな。


「それで報告ってのは?」


「マルコイがちゃんが期待してる程の情報はないと思うけど、一応ね。あと気になる事もあったから。」


「気になる事?」


「まあとりあえず今回マルコイちゃんの家に侵入者が入る前にキリーエちゃんの事を嗅ぎ回ってる人がいたみたい。それが今回の侵入者なのかはわかってないけど。マルコイちゃんパーティの事を聞いて回る人は闘技会後には結構いたわ。でもそのほとんどがマルコイちゃんの事だったの。アキーエちゃんやミミウちゃんの事もあったけどね。それでも闘技会に出ていないキリーエちゃんの事を聞く人がいたのは珍しかったみたい。」


「そんなに珍しい事か?キリーエもホット商会の件があるから有名にはなってるだろう?」


ホット商会は多分俺より有名じゃないか?


「確かにそうね。でもキリーエちゃんの商売のやり方だとホット商会は有名になるけど本人はあまり表に出ないからそこまで有名にならないわ。何店舗かは自分で経営してるみたいだけど、他の店舗は店主が経営している形になってるから。そして売り上げの何割かをホット商会に納める。そうよね?」


「確かにその通りです。ホット商会の名前も貸し出しして支度金も準備します。でも売り上げの納付金については最低納付金は決めてます。それに売上金の証明書提出と時折見回りは行かせますけど。」


なるほど。

それだと表に出ないで済むのかな?


キリーエは忙しそうにはしてるけど、基本家で仕事してるからな。

確かに表には出てない。


「それなのにキリーエちゃんの事を調べてたのは普通の冒険者風の人だったらしいの。だから聞かれた方も覚えてたらしいわ。あと商人ギルドに所属している人からの情報だとホット商会の事を聞いてきた商会があったらしいわ。正確には商人ギルドに聞いて貰った方がいいと思うけど、私が聞いた話では今噂のナイコビ商会だったらしいわ。」


もうこれビンゴだろ。

もともと怪しかったのにそこまで揃ってるなら。


「それでどうするの?」


「どうする‥か。」


「1つはこの街にいて警護を厚くするか。それならギルドも多少は協力するわ。でもあくまで多少ね。あとは国にお願いして怪しい人が街に入ったら教えてもらうとか。でも抜け道はいくらでもあるわね。だから自衛手段をもっと揃える必要があるわね。もう1つは‥」


「もう1つはロンギル共和国に乗り込んで、暗殺ギルドとナイコビ商会をぶっ潰すとか?」


アキーエさん。

その通りですが、ぶっ潰すとか言い方露骨すぎません?


「ふふふ。アキーエちゃんったら過激ね。嫌いじゃないわよ。でも相手の規模もわからない状態だと少し危なくないかしら?だからもう少し様子をみて動いてもいいかなと思うわ。必要経費をいただけたらこちらで調査員を送ったりしてもいいわよ。」


そっか‥

それなら家にいる間安全に過ごせるようしないとな‥


「マルコイがまた変な事考えてるわ‥」


ひ、人聞きの悪い。

でも考えてみますかね。

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